あれこれいろいろ

竹林の七賢と音楽

3世紀中国、三国時代から晋の時代にかけて、「竹林の七賢」と呼ばれる七人の思想家たちがいました。いずれも老荘思想に傾倒し、清談と呼ばれる哲学論議を繰り広げ、詩文や音楽を愛し、常識に縛られない奔放な言動と絶え間ない飲酒などで有名です。七人の中でも音楽面で有名なのが、嵆康(けいこう)と阮咸(げんかん)のふたり。

嵆康は琴(きん)の演奏を好み(冒頭の絵は琴を弾く嵆康)、音楽理論書の「声無哀楽論」「琴賦」を著しています。

阮咸は音律に精通し、亀茲伝来の琵琶を改造して胴が平たい形の琵琶(下の図のもの)を発明して弾いたと言われており、後にその楽器は阮咸と呼ばれるようになって、日本にも伝わって正倉院にあります。

七賢の人たちに共通するのは、儒教の礼の教えでがんじがらめにしてくる支配体制に従わない姿勢。細かい礼の教えを大きく呑み込んでしまうような老荘的な詩文と、あえて常識に従わない異常な態度(常態的な飲酒酩酊、人によってはドラッグ的な薬物の服用、礼の決まりごとの意図的な無視、異様に尊大な言動等)によって、何ものにも縛られないことを思想と行動の両方で表現しているようです。音楽の愛好も縛られない姿勢の一表現のようで、嵆康が書いた「声無哀楽論」にも儒教的音楽観に対抗する姿勢が見られます。

ヒッピーから現代までアメリカ音楽に見られる、ドラッグや飲酒の影響、奔放なライフスタイル、哲学的な言動や詩、自由な音楽の展開は、共通するところがかなりありそうです。

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