人間とは道具や機械などの技術(テクノロジー)を使うことによって生命が維持される生き物であるから、道具や機械などのテクノロジーは人間という生命の一部である、という考え方があります。
この考え方の延長で考えれば、AIは人間の生物的進化そのものということになるのでしょう。
AIの音楽は好きじゃない、という人は多いと思いますが、一度火の存在を知ってしまった人類が火のない世界に戻ることはできないように、AIのない音楽世界に戻ることはできないことにある日突然気が付くのかもしれません。
テクノロジーの語源は、ギリシャ語の「τέχνη(tékhnē, テクネー)」で、それがラテン語で「ars(アルス)」と訳され、さらに英語の「art(アート)」、フランス語の「art(アール)」、ドイツ語の「Kunst(クンスト)などになっていきました。このように元々アートの概念は現在の「技術」とほぼ同義でしたので、音楽というものも技術の進化と切り離せない宿命なのでしょうか。
さて冒頭の口絵は、ギリシャ神話のプロメテウス。プロメテウスは粘土をこねて人間や動物を創造し、天に昇って太陽から火を拝借して人間に手渡します。これで人間は火を起こして寒さをしのぎ、調理をし、金属を製錬し、道具や武器を作り、文明と技術が生まれたということです。
というわけで、プロメテウスの音楽をふたつ聞いて見たいと思います。まずは、ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」。
次は、リストのプロメテウス。