ルネサンスギター

ルネサンスギターの調弦についての16世紀の記述 新しい調弦法と古い調弦法

ルネサンスギターの調弦については、検索して出てくる大抵の資料には、GCEA(ソドミラ)とするのが一般であると説明されているのですが、1555年に出版されたホアン・ベルムードの「楽器詳解」には次のように少し異なる記載がされています。

「ふつう4コースの楽器であるギターには、古い調弦法と新しい調弦法がある。新しい調弦のギターというのは、6コースの楽器ビウエラから最高・最低の2弦を取り除いたものと同じ(つまり、音の低い方からド・ファ・ラ・レ)であり、古い調弦のそれは、これの最低弦だけを一音低めた形(シ♭・ファ・ラ・レ)になる。新しい調弦は当世流の(対位法を用いた)上等な音楽を弾くのに適し、古い調弦は昔風のロマンセ(物語歌)を伴奏するためのムシカ・ゴルベアーダを弾くにふさわしい」

ここにムシカ・ゴルペアーダとは、打ち鳴らさせる音楽を意味し、ラスゲアードと同義と考えられています。

現在一般に説明されているソドミラの調弦は、上記の新しい調弦法のドファラレを並行移動させただけなので、「当世流の上等な音楽」のための調弦の一種と考えてよいのでしょう。

古い調弦でかき鳴らす庶民の音楽に対して、宮廷の貴族などが好む対位法で旋律を弾く音楽を「上等な音楽」と表現するところに、ルネサンスギターを取り巻く16世紀の音楽環境が見えておもしろいと思います。

 

 

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