ルネサンスギター

ルネサンスギター三号機 ギター&リュート奏者太田耕平さんのもとへ 今生きて変化する古楽器

昨日、ギター&リュート奏者の太田耕平さんが工房に来られ、一十舎のルネサンスギター三号機が太田さんのもとへ旅立っていくことになりました。

上の写真の右端のものです。今後ステージや動画などで音を響かせてもらえるのはやはりうれしいです。

板の素材は、トップがシトカスプルース、バック、サイド、ネックはマホガニーです。

ルネサンスギター特有の軽やかな明るい鳴りの中に、マホガニーの温かいまろやかな味わいも加わったという一本になっています。

マホガニーは南米またはアフリカ産の木ですから、伝統的なルネサンスギターの素材ではありません。シトカスプルースも北米の木ですから、これも同じです。ですから、昔ながらのルネサンスギターを考古学的に復元しようという観点からは明らかに外れています。

しかし私は、「考古学的に正しい楽器を作ろうということより、今まさに生きて変化し続ける自由な楽器としてのルネサンスギターという感覚なので、いろんな素材や形を楽しみたいんです」ということを、前に太田さんに話したことがあり、太田さんもその考えに賛同して下さっていたので、純粋に音と弾き心地と太田さんのレパートリーとの相性などの観点から選んでいただいたと思います。

太田さんの話によれば、古楽の専門家の中でも、古楽は起源が古くても今も躍動する音楽なのだという点で、古楽という言い方自体やめた方がいいという主張もあるのだそうです。

私の楽器作りの基本は、自由で開かれた展開に乗っていくということなので、伝統と言うものも自由な選択肢のひとつとしてゆるやかにとらえながら、どんどん新しい変化も加えていきたいと思っています。

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