タイトルの意味がよくわからんという方のために説明しますと…
メキシコのベラクルス州に、ハラナ・ハロチャ(Jarana jarocha)というギター形群がありまして、その中のハラナ・テルセラ(Jarana tercara)と呼ばれている楽器の中に、4コース8弦で調弦がGCEAという、ルネサンスギターとまるっきり同じじゃないかというのがあるぞ…という話なのです。
つまり、わかりやすく言うと、地上から消えたと思っていた日本オオカミがまだ生きてたのか?的な話で、数百年前に消えたと思ってたルネサンスギターがまだ残ってたのか? というのが今日のテーマです。
ちなみに、ハラナ・テルセラの音はこんなです。↓
結論から言いますと、残念ながら、ルネサンスギターが生き残ってた、というのとも異なるようです。
メキシコのハラナ・ハロチャというギター形群は、5コース8弦(1コースと5コースが単弦で、2~4コースが複弦)が一般的な弦構成で、これはバロックギターからの影響が強いと言われているのです。ハラナ・テルセラは、そんなハラナ・ハロチャの一変種として生まれてきて、それが結果的にルネサンスギターと一致してたまたま先祖帰りする形になったということのようです。またハラナ・テルセラの中には10弦のものもあるようで、その変種の範囲が案外広そうです。
↓ 10弦のハラナ・テルセラ
↓8弦だが、ペグの穴を見ると、2本分予備の穴があるようで、10弦も想定してる?
まあよくわからい感じもありつつ、生きた化石発見! とただちに言うわけにもいかないようです。
それでも、16世紀末から17世紀初頭にかけてのルネサンスギターからバロックギターへの時代的変遷過程、スペイン音楽の古い形を色濃く残しているメキシコという土地柄などを考えると、当時のルネサンスギターの様子を推測する手がかりは案外ありそうです。