音楽のテンポと心拍が同期するという現象があるそうです。
男性被験者13名にだんだんテンポがゆっくりに(66bpmから43bpm)なる音楽を聞かせながら心電図を計測したところ、被験者全員に音楽のテンポと心拍の同期が見られ、心理検査(STAI)の結果、同期区間におけるリラクセーション効果が確認されました。ただし、テンポが変化しない音楽の場合は、心拍同期区間のリラクセーションは確認されなかったので、リラクセーションにはテンポの変化が関係している可能性があるそうです。(室蘭工業大学の学術資源アーカイブより↓)
音楽のテンポと心拍の同期現象とリラクセーションへの影響 研究
被験者全員に音楽のテンポと心拍の同期が見られたというのはすごいですね。以前に音楽と脳が同期する現象のことを書きましたが、心臓も同期するのでした。
世の中のヒーリングミュージックは60~70BPM(BPMとは1分の心拍数)のものが多く、人の心拍は通常60~90BPMですから、心拍の遅い方に合っているようです。心拍が同期しやすそうなテンポが自然に選ばれているのでしょうか。
テンポに注目した音楽としては、テンポ116というものが、もうかなり前から知られているようです。片岡慎介さんという方が商品化しています。このテンポ116とBPMとの関係がはっきりしませんが、メトロノームの1往復を1と数えるか2と数えるかの数え方の違いのように思えます。片岡氏は対談でテンポ116をこんなふうに説明しています。
体の不調とか様々な問題の原因のひとつに、体内時計の乱れというのがありますよね。じつは、体内時計って約25時間。で、月が地球を一周するのも24.8時間なんです。このことに気が付いたのがちょうど“テンポ116”を発見したときでした。いろんな企業から依頼されて産業音楽を作っていく中で、ベテランと呼ばれる方々は、116のテンポで作業されていた。それが、あるとき、116ってお月様のテンポ!というヒラメキのようなものが浮かんだんです。お月様の一日は24時間ではなくて24.8時間。一日の長さ24時間を24.8時間で割ると0.967。だから、月のテンポは太陽の1分間60に比べると0.967倍のテンポになるから58.02になります。
それを振り子の時計のように振り子が左右に動くカウントを2とした場合、太陽に合わせた場合は一分間に120のカウントとなりますが、月に合わせた場合は116になるんですね。だから、116というのはお月様のテンポなんです。人間も動植物はお月様のテンポで動いている。だけど、太陽暦でまわっている社会では、月の暦を忘れていますよね、だから、もう一度月のテンポに人間が合わせるようになったら心にも体にも負担をかけることが少なくなり、無理なく力を引き出すことが出来るのでしょう。
116と120でリラクセーション効果が有意に変わるのかどうかについて、学術的な検証実験などは見つけることができませんでした。ヒラメキは実験によって検証されることで大きく育つこともあるので、実験があったら見たいと思います。
テンポ116とはこんな音楽です。この音楽でゆっくり鳴るリズムを数えると1分間で58でした。↓