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「修復家だけが知るストラディヴァリウスの真価」 中澤宗幸著

今、この本を読んでいます。面白いです。

 

修復家だけが知るストラディヴァリウスの真価

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ストラディヴァリウスは、天才のための楽器ですね。それも並の天才ではなく、選ばれし天才だけがストラディヴァリウスの音を出すことができます。楽器が所有者を選ぶみたいなところがあるようで、そのためか、ストラディヴァリウスには、一台ごとに所有者の名前が付けらて呼ばれているものが多いんですね。奏者と楽器が一体化している感じです。並の奏者にとっては、ストラディヴァリウスはじゃじゃ馬みたいで、容易に乗りこなせない楽器のようです。

じゃじゃ馬と言えば、同じイタリア生まれの自動車、フェラーリもそう呼ばれていますね。素人には乗りこなせません。それでも最高の銘品として今なおファンの心をわしづかみにしています。ストラディバリウスの存在感と似てるところがありますね。

私は誰でも容易に弾けて近くで聞いて最高に心地いい音がする楽器を作りたいと前にも書きましたが、その方向性はストラディバリウスとは逆ですね。ストラディヴァリウスは、読むほどに私の思う楽器と正反対だなあと思うので、まるで写し鏡を見るようでかえってこの本が面白いです。参考になることがいっぱいです。

私が作りたいのは、車で言えば、「とてつもなく速いじゃじゃ馬のようなでも気品あふれるフェラーリ」でなく、「とてつもなく乗りやすくて便利でめちゃくちゃ優しい軽自動車」みたいな感じですね。そういうのを作りたいという目でフェラーリを見るとかえって面白いんだと思います。フェラーリを作りたい人とはちがう視点からフェラーリの本質が垣間見えたりするんだと思ます。同じように、私はちょっとちがう視点からストラディヴァリウスの話が面白いです。

どうやら、私が作りたいものは、ストラディヴァリウス以前の古楽器の方に近いようです。オペラやオーケストラなどが登場する以前のこじんまりとした室内楽の楽器です。この本の中に、「ヴァイオリンは人を活気づけ、ヴィオールは人の心を落ち着かせる」という言葉を紹介されているのですが、ヴィオールというのは、ヴァイオリン登場以前の、ヴァイオリンの前身の擦弦楽器です。ストラディヴァリウスはもちろんヴァイオリンの方の最高の代表です。この言葉はなかなか含蓄がありますね。

音楽は、今、天才の演奏を聴くものから自分が日常の中で弾くものという潮目にあるような気が私はしていて、ヴィオールのような古楽器の音色がまた新たに求められていると感じています。ウクレレもそういう潮目の中で輝き始めているように、なんとなく思うんです。(^^)/

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