ウクレレ豆話

マヌエル・ヌネスがタロパッチという言葉で表現しようとしたもの 音楽文化の創造

上の写真は、ハワイにおける最初期のウクレレ製作者マヌエル・ヌネスのウクレレのシールです。これと少しちがうスタイルではこんなのもあります。↓

文字を読むと inventor of the ukulele and taro patch fiddles と書いてあります。inventorは発明者という意味ですから、ヌネスはウクレレ発明者を自認していたことがわかります。

ukulele が単数形で、taro patch fiddles が複数形になっているところを見ると、taro patch fiddles には、昨日の記事に書いたように、単弦の5弦ギターと複弦の8弦ギターの両方を含んでいる可能性がありそうです。

一番上の写真のシールには、guitars も書いてあるので、6弦ギターも製作していた可能性があります。6弦ギターには、タロパッチチューニングというハワイアン音楽のオープンGチューニングが有名なことが思い出されますが、ヌネスはこのチューニングに関係しているのでしょうか。

タロパッチとは、タロイモ畑という意味の言葉ですが、ヌネスは、4弦ウクレレを発明しただけでなく、5弦ギターのタロパッチと8弦ギターのタロパッチ、そして6弦ギターのチューニングなど、全部を包括して、「ハワイ農村の楽器達と音楽」という新しいハワイ音楽文化を創造しようとして、タロイモ畑という言葉をその象徴に選んだのかなと、想像しています。そういう新音楽文化の創造者になるという意志と戦略を8ワードに折り畳んで、inventor of the ukulele and taro patch fiddlesという言葉をウクレレに貼り付けたのではないでしょうか。

もしかしたらヌネスさん一人の話というより、当時のマデイラ移民の製作者達や音楽家達、さらにはハワイ現地民も入っての共同創造行為だったかもしれません。

この人がヌネスさんです。☟

 

 

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