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クロンチョンその3 チュック(cuk)とチャック(cak)

クロンチョンの伴奏楽器として使われる2タイプの小型ギターがチュックとチャックです。チュックとチャックと言うと、なんだか昔読んだ絵本のタイトルに似たようなのがあったような気がします。

チュックは上の写真の左下の3弦楽器で、クロンチョンギターと呼ばれることもあります。実はこれはハワイのウクレレが変化したもので、名前もウクレレから来ており、インドネシアの発音でウクレレをチュクレレと呼んだのがチュックに転化したのです。そして弦数も一本減るという変化を遂げて3弦楽器になりました。弦はナイロン弦で、調弦は楽器を抱えた姿勢で上から見てGBEです。

なぜウクレレがクロンチョンに入ってきたかというと、20世紀初頭にハワイ音楽がインドネシアで流行したことによります。1919年、ハワイからアーネスト・カアイをリーダーとするロイヤル・ハワイアン・トゥルバドゥールスがジャカルタに来て公演しました。そしてその中の演奏者2名(ウクレレ奏者とスチールギター奏者)がそのままインドネシアに残って家庭を作り、ハワイ音楽をインドネシア人に教え、さらにウクレレの製作販売もしたそうです。そして1930年ころには、ハワイ音楽はインドネシアで大流行し、ハワイアンバンドもたくさん生まれました。

このようなことからウクレレはインドネシアに広がり、やがてクロンチョンの中に取り入れられてチュックになりました。

次にチャックですが、チャックは上の写真の右端に写っている、サウンドホールに小さな穴がたくさん開いているものです。4本の弦が張ってありますが、実はひとつのコースだけが複弦の3コース楽器(楽器を持ったときの姿勢で一番上にくるコースだけが複弦)で、調弦は上から見てDGB。弦はスチール弦で、高音担当。ギターの形をしていますが、実はこちらの起源はバンジョーだそうです。音の擬声語とチュックと語呂の良さでこちらはチャックと呼ばれるようになったようです。

バンジョーがどうしてこのようなギターのような形のボディになったかはよくわかりませんが、チュックを製作する職人が同じ技術でチャックも作ったらこうなったということかもしれません。

1900年代初頭、ハワイアン音楽は当時のオランダ植民地政府にも受けがよく上流階級に好まれ、クロンチョンは下層階級に好まれましたが、音楽家の相互交流はあり、ハワイアンのスチールギターがクロンチョンで使われるなどということもあったそうです。

なんだかこういう経緯は、16世紀にビウエラがスペインの上流階級に好まれ、ルネサンスギターが庶民に好まれ、でも相互交流もあってルネサンスギターが対位法の上等な音楽に使われることもあったという話とも似ていて、階級と音楽というテーマではよくあるパターンなのかもしれません。

チュック(ウクレレ起源)↓

チャック(バンジョー起源)↓

参考・インドネシア音楽の本 田中勝則著 ウイキペディア その他

 

 

 

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