ウクレレの真ん中の穴を覗きこむと、四角い紙が貼ってあります。そこには、大抵の場合、製作者のロゴやマーク、型番と製造番号が書いてあり、あとは飾りの縁どりが書いてあったりします。
ラベルがあると何となくかっこいいですが、情報量が少なくて、さほど意味のある紙でもないなあと、正直なところ思っていました。(*´Д`)
購入者が知りたい情報が書いてない…そう思いまして、購入者目線に立って、一十舎では情報を書くことにしました。
「そのウクレレは何の木で出来ているんですか?」と聞かれたときに、「さあー(・・?。主としてマホガニーなんだけど、こっちの木は何かなあ」程度しか答えられなかった経験が私にも幾度かあり、自分の愛器が何で出来ているのかの詳細を知りたくても、知る方法がありませんでした。
一十舎のウクレレのラベルの例は、冒頭の写真です。小さい字で書いてありますが、虫めがねで読むと、アルファベットと日本語まじりで、こんな内容のことが書いてあります。
トップ材 エンゲルマンスプルース
バック・サイド・ネック材 アフリカンマホガニー
指板 エボニー(黒檀)
ブリッジ ローズウッド
ツキ板 ウオルナット
インレイ(埋め込み装飾) ローズウッド、カリン、漆、メープル、ウオルナット、パープルハート、カエデ、マホガニー
これだけで紙がいっぱいになります。装飾インレイの各部位と木との対応関係も書ければいいのですが、さすがに無理でした。それでも、ネットなどで調べる手がかりは残ります。
それにしても、市販のウクレレに材料が書いてあるものは見かけないですね。何ででしょうか。ウクレレは材料次第で音が変わるんですから、書かないのが不思議なくらいなんですが、でも考えてみると、安価なタイプのウクレレは、「合板」なんて書かなくちゃいけなくなって、営業上得なことがないですね。各社とも買いやすい低価格バージョンを営業の柱のひとつにしてますから、わざわざ合板なんて書いても、誰も喜びません。それで材料は一切記載しないという慣例が次第にできたのかもしれません。
一十舎のような個人工房では話は簡単で、天然木の単板以外で作ることはないですから、材料を書くことに何の支障もないわけです。
コンサートなどに行くと、メンバー紹介をしますよね。「ベース、イケメン西野~」「ドラム、髭の原田~」とかって、仲間を紹介します。紹介された方は、ワンフレーズだけ、じゃかじゃかっと演奏して、ニカッと笑って会釈したりします。
私もね、仲間を紹介したいんです。
「トップ~ アフリカからわざわざ来てくれました~。褐色の貴公子、マホガニー」
「指板~ 黒い艶が自慢です。エボニーちゃ~ん」
なんてね、紹介したいんです。
一緒にウクレレを作ってる仲間なんで、これが仲間ですって、なぜか自慢したくなるんですね。(*´ω`*)
一本のウクレレに、こんなにたくさんの種類の木を使う人はいないと思うんですが、木が好きなもんで、みんな使ってあげたいような気分になりまして、使ったらやっぱり紹介したくてラベル書くんですが、紙面が小さいので、名前しか書けません。
目立たないですけど虫眼鏡で見てみてください。一緒にウクレレを作っている仲間たちです。(^.^)