江戸後期から明治、大正、昭和初期に流行した三味線を伴奏にした歌の楽しみ方に、小唄や都々逸があります。歌の内容は艶めいて、短い詩型に情景描写や心情描写があり、起承転結があります。小唄の三味線弾きにバチを使わず、つま弾き(肉弾き)で弾きます。また、その歌い方は声を大きく出すよりも喉を絞ってオツに(味わい深く)歌うことを大事にします。つまり、小さな室内の主客ふたりの関係性にふさわしい音量と表現方法が追求されているわけです。
このような短い詩型を楽器伴奏で小さく歌うという表現は、現代の様々な音楽ジャンルを見回しても、案外見あたりません。そういう意味で日本独自のこの表現は、もっと見直され、大事にされて良いように思います。そこには新しい表現につながる再発見もありそうな予感があります。
いくつか聞いて、なんとなく合わせて口ずさんでみてください。この張り上げない歌い方が、体にしっくり馴染んでくるようで、人にやさしい音楽であることが感じられると思います。
江戸小唄
江戸小唄 都々逸 都々逸あんこ入り
江戸小唄
都々逸