まずは舞妓さんの祇園小唄。まるで日本人形が動いているかのようにも見えます。
人形と言えば、次の中国の芭比 BarBinさんのドールダンスは、人形の動きそのものがテーマのダンス。
次はアメリカ、ロボットダンス。左端の女性、Dyttoさんは、まるでバービー人形が動いているかのようということで有名。店頭のマネキンが動き出したようにも見えます。
日本舞踊は、ドールダンスやロボットダンスのように「生命のない人形が命を得て動き出した」ということをテーマとする踊りではないですが、それでも共通するものを感じます。
日本舞踊のたたみ一畳でも舞うことができるという抑制の効いた動き、白い化粧や華やかな着物から醸し出される非日常性、完成された動きの様式美、定型性の中から生まれる物語性、人形浄瑠璃から歌舞伎を経て日本舞踊に至るという人形劇と密に関連する歴史的系譜、廓や花街という閉じられた時空だけで見られるというイメージ、これらが混然一体となって、日本人形的な連想に繋がるのかもしれません。
歌舞伎の中には、「人形振り」という、まさに人形を模した演技があります。登場人物が人形のような身振りで踊ることで、興奮した激しい思いを表現します。人形劇の文楽の動きを人が誇張して演じ舞うというものです。
どうやら人が人形を演じて踊ることから生まれる不思議な生命感というのは、時代を問わない世界共通現象のようです。それはコンピューター空間のアバターで自己を拡張するという、新たな身体性と新たな生命観に繋がっていきそうな予感もあります。
歌舞伎の「人形振り」☟