今日は、私の福津工房に、今度広島に木工所を開設する予定の人が見学に来ます。その人の木工所は様々な木工講座を開くタイプなのですが、ウクレレ作りもレパートリーに加える可能性があるんだそうです。
そう言えば先日、昼食を食べながら話しているとき、その人がこんなことを言ってました。
「木工は、失敗のリカバー技術が、もしかしたら作る技術以上に大事かもしれないですね」
同感です。
工芸、家具製作、大工等どの分野でも、木工は予定外の木の動きや曲がり、削りすぎや切りすぎなどは必ず起こります。そこであわてないのがベテランの貫禄という感じで、そこでパニックになってたら木工は成り立たないのです。
昔の日本建築など、曲がった木なども上手に利用して見事な家を建てたりしますが、「いろんな木を生かして見事なものに仕上げてしまう」みたいな発想が木工の本質の中に最初からあるのだと思います。さらにその発想の先には、作った後の木の膨張や曲がりなどの経年変化も予定済みだし、地震や台風の揺れや少々の壊れも吸収しちゃうとか、あらゆる予定外が予定済みみたいな感じがあるわけです。
そんなわけで、失敗すらも予定の内で、そこからが職人の腕の見せ所みたいな感覚になるんだと思います。失敗も失敗でない、予定外も予定内、みたいなとこが木工職人にはあって、親方はどーんと構えているわけです。もちろん、やらなくていいような失敗は、ベテランは当然滅多にしないんですけどね。
リカバー技術が作る技術以上に大事という言葉は、そんな木工の本質的発想にちょっと関係しているような気がします。(^^)