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雲南省彝族(イ族)の仮面と沖縄県八重山の仮面 三線の起源

冒頭の写真は沖縄県八重山伝わる儀礼的集団芸能アンガマで使用される仮面です。先祖をあらわすウシュマイ(御主前)とンミ(ウミー)という男女の老人の仮面をかぶって家々を訪問し、語りや歌、踊りを披露し、その家の先祖の位牌を拝み、家の主人に祝言を述べ、酒食のもてなしを受けて、見物の群集にあの世の先祖の話を裏声で語って聞かせます。

そして次の写真。これは、中国雲南省の少数民族である彝族(イ族)の仮面(雲南民族博物館所蔵)。

似ている…というか、同じですね。歯が一本だけなんてところまで一緒です。

ちなみに雲南省と八重山(石垣島、宮古島、西表島等)の位置関係はこうです。かなり遠いです。雲南省は中国のかなり奥の方。

次の写真は雲南民族博物館にあるイ族の三弦楽器。次のサイトに紹介されています。

http://blog.livedoor.jp/touxia/archives/51251243.html

蛇皮張りで長い棹に三本の弦、カラクイや駒の形状など、沖縄の三線とよく似ていますね。

これらの雲南省と八重山の仮面と楽器の類似性については、「歌垣と神話をさかのぼる 工藤隆著 新典社」にも詳細に紹介されていて、雲南省の歌垣(交唱)の男女の歌の掛け合いにこの楽器が使用される様子が紹介されています。

八重山から沖縄本土にかけて広く毛遊び(モウアシビ)という男女の歌の交換の風習がありましたが、これは歌垣の一種として見る可能性がありそうです。

以上からすると、雲南省から八重山に人の移動があった可能性は高いのではないでしょうか。儀式や楽器や歌の風習全体が移動してきていることからすると、まとまった人数での移住があった可能性がありそうです。

三線の起源としては、一般に台湾の対岸にある海沿いの福建省からの渡来として説明されるのですが、雲南省の少数民族の移住も見逃せないポイントのように思われます。

次回につづく