ルネサンスギターが流行っていた16世紀前後のスペインの音楽事情を知りたい…ということで、当時スペインから追放されたユダヤ人の音楽のことを書きたいと思います。(ルネサンスギターは登場しないですが)
1492年のレコンキスタでイスラム教徒がスペインから追放されたことは有名ですが、このとき20万人ものユダヤ人も追放されて難民となりました。1497年には、ポルトガルからもユダヤ人が追放されています。追放されたユダヤ人は、北アフリカのアラブ諸国、イタリア、バルカン諸国、エジプト、中近東などに分散して各地にコミュニティを作っていきました。オスマントルコがユダヤ人を排斥せずに15万人ほど受け入れたようです。
このとき、ユダヤ教からキリスト教に改宗したユダヤ人(コンべルソと言う)はスペインに残ったのですが、迫害は続き、百年後にはこのコンべルソたちも結局は追放され、ヨーロッパ各地に散っていきました。
このスペイン系ユダヤ人をスファラディ(複数形はスファラディム)又はセファルディというのですが、このスファラディの音楽は、ユダヤの音楽とスペインの音楽とアラブの音楽が融合していて、スペインの土地柄と歴史を色濃く反映しています。フラメンコの発声法、微小音程、半音階、メリスマ(一音節に複数の音符を当てるような曲付け、こぶしみたいなもの)、マカームによる自由リズムの即興などの特徴があります。全体として非常に東方の香りが感じられます。
こんなスファラディの音楽の例として、ラディーノ語(スペイン語とヘブライ語の混成言語)による伝統音楽を現在も聞くことができます。アラブ的、スペイン的、ユダヤ的、そして移住した土地の文化的という、複数の文化が合流したところに生まれた音楽です。
見つけたラディーノ語の音楽動画を三つほど。↓
次の動画は、スファラディやラディーノ語の歴史について解説しているわかりやすい動画です。スペイン語に英語字幕ですが、画面みてるとまあなんとくわかります。↓