上の写真は16世紀から17世紀頃のギターの形をもとにして作ったウクレレなわけですが、現代のウクレレやギターを見慣れた目からすると、どことなく不思議なバランスのボディ形状に見えるかもしれません。
私も昔はじめて古楽器のギターを見た時には、奇妙なバランスだなあと思った記憶があります。19世紀ギターも奇妙な形に見えましたし、18世紀ギターはもっと不思議な形に見えましたし、16世紀ギターは奇妙な未発達なギターのように見えました。
しかし、こうして自分で昔の形で作ってみて、その使いやすさや、独特の音の魅力に触れていますと、だんだん、何が奇妙で何が奇妙でないかがわからなくなってきます。
私の中で様々な時代の形が混然一体となってきて、どれが未発達でどれが発達しているという先入観も抜けきて、昔のギターが普通に見えて、今のギターが真逆にかなり奇妙に見えてきたりもします。
少なくとも、ギターがだんだん進歩して現代ギターになっていったんだという直線的な思考から自由になって、様々な時代のギターが、その時代のライフスタイルに適合していた、等価の存在なのだという見方が自然になってくるようです。
この感覚の変化を体験しますと、まっさらな感覚で自由な楽器を作れそうな気がしてきて、ちょっとわくわくします。