猫は骨折をしても、他の動物より三倍速く回復することができると言われています。
ニューヨーク州立大学生物医学工学部クリントン・ルービン博士の研究によると、猫のゴロゴロ音(25~50Hz)の響きが骨折を治し、骨を強化しているということが確認されています。ネコ科の肉食動物は単独で行動するため怪我が多く、他の動物に狙われる危険を回避するために、そのような治癒の仕組みを進化の過程で獲得したと考えられています。この低周波の振動によって筋肉と骨を震わせ、身体を発熱させ、血液循環を良くし、臓器の機能を高め、さらに骨密度を高め、骨折を早く治すわけです。猫は、気持ちいい時、リラックス時、怪我や病気の時などに、ゴロゴロ音を出して体を回復させているのです。
この猫のゴロゴロ音は、人間が聴いても、リラックス効果があることを確認した実験もあります。その実験では、猫のゴロゴロ音は、人の嗜好に関係なく、人を選ばずにストレス緩和・リラックス効果が認められたそうです。(荒井翔子・大橋学・伊藤有紀・Uehara Juan Martin・増田知之らの研究「店舗用BGMに最適な新規リラクゼーション音源の探索-猫のゴロゴロ音についての初期検討-」)
さらに進んで、猫のゴロゴロ音そのものでなく、それと同じ周波数のホワイトノイズを人に聞かせた場合でも、人のストレス緩和、リラックス効果があることを確認した実験もあります(「猫のゴロゴロ音が人の精神状態に及ぼす影響」 家村涼花)。
現在では、猫のゴロゴロ音の周波数からヒントを得た超音波による医療機器も開発され、「超音波骨折治療法」として、スポーツ選手の骨折治療が活用しているそうです。
この動きは、音楽の世界にももちろん登場。猫のゴロゴロ音を取り込んだ音楽動画も簡単に見つかります。たとえばこんなの。
考えてみれば、人間も病気で苦しいときにうんうん唸ったりしますが、あれも振動で体を癒そうとしているのかもしれません。
低い声で唱えるお経を聴いていると、なんだか眠くなったり、気持ちよくなったりしますが、あれも同じような低周波の仕組みがあるのでしょうか。
低周波音楽にいろんな可能性がありそうです。