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スプルースとシダー 分類のはなし

ギターの表板には、スプルースやシダーといった針葉樹を使用することが多いですが、スプルースは松の仲間でシダーは杉の仲間と説明されることがあります。しかしこれは分類学的には混乱がある説明のようです。

針葉樹は、マツ科、コウヤマキ科、ヒノキ科、ナンヨウスギ科、マキ科、イヌガヤ科、イチイ科などに分類され、スギは、この中のヒノキ科に統合され、ヒノキ科スギ亜科に分類されるのが一般だそうです(スギ科という独立の科として考える説もある)。

マツ科は、さらにマツ属、モミ属、ヒマラヤスギ属、アブラスギ属、カラマツ属、トウヒ属、トガサワラ族、ツガ属、などに細分されます。

ヒノキ科スギ亜科は、さらにヌマスギ属、スイショウ属、スギ属に細分されます。

このように、スギという名称が、独立の科であるナンヨウスギ科に使われていたり、マツ科の中のヒマラヤスギ属に使われたり、ヒノキ科スギ亜科に使われたりしているので、「スギ」という言葉を、「科」、「亜科」、「属」という分類上のどの段階か意識せずに使うと混乱が起きてしまうわけです。

ギター用材であるスプルースとシダーをこれらの分類にあてはめると、

スプルース(spruce)  ☞ マツ科トウヒ属

シダー(cedar) ☞ マツ科ヒマラヤスギ属

ということになります。どらもマツ科としてマツの仲間に分類されます。

シダーはマツ科ヒマラヤスギ属としてスギという言葉が確かに使われることがあるわけですが、これはヒノキ科スギ亜科に属する本来のスギと異なり、あくまで本籍はマツ科であるわけです。

スプルースはマツの仲間で、シダーはスギの仲間という説明は、科と属という異なるレベルを並べていて、正確ではないということになります。「科」で比較すれば、どらもマツの仲間。「属」で比較すれば、スプルースはトウヒ属の仲間で、シダーはヒマラヤスギ属の仲間にあたります。

ちなみに、日本の針葉樹をいくつか見てみますと、杉はヒノキ科スギ亜科スギ属、桧はヒノキ科ヒノキ属、蝦夷松はマツ科トウヒ属、姫小松はマツ科マツ属に分類されます。

 

 

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