裾野の音楽と楽器たち

スペインの小型民族ギターのギタロとギタリコのざっくり分布

スペイン民族楽器としての小型ギターを追って、アラゴン、バレンシア、ムルシアの小型ギターはいくつか動画を見つけ紹介しましたが、ほかの地域のものの動画は発見できませんでした。

しかし、ラ・マンチャ(カスティーリャ州)、アルメリア県とグラナダ県(いずれもアンダルシア東部)、それからバレアレス諸島にもギタロがあるという文字情報は断片的に出てきます。

さて、スペインの民族的な小型ギター(その中でも大小の差はあります)がどのあたりに残っているか、次の地図に青線で囲ってみました。もっと周辺にもあるのかもしれないので、あくまで現時点での情報で暫定的に囲っただけですが、それでもなんとなくまとまりのある地域にギタロあるいはギタリコと呼ばれる小型のギターがあるんだなということがうかがい知れます。昔のアラゴン王国付近が中心のような感じもしますが、断定的なことは言えません。楽器の内容的には4弦、5弦、6弦、5コース8弦など様々ですが、わりと単弦の5弦バージョンが共通的に見られるように思います。

カタルーニャ、バスク、ガリシアは、言語的、民族的、歴史的に独自のものがあるためか、このような小型ギターがあるという情報は見当たりません。その他の言及してない地域はちょっとまだよくわかりません。

とりあえずこの青線で囲んだ部分に伝統的な小型ギターがあり、ちょっと飛んで、スペインの西側に隣接しているポルトガルには非常によく似た小型ギターとしてカヴァキーニョがあるわけで、これらは兄弟関係にあると見るのが自然だと思います。

スペイン内部では、アラゴンのものだけギタリコと呼び、その他の地域はギタロ(時にギタロン)と呼んでいるように見えます。

あと、右下に別枠で囲まれているカナリア諸島にはティンプレがあるので、次回以降に触れたいと思います。

 

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