海を渡った小型ギターたち

ポルトガルのビオラ(violas portuguesas) それからブラジルのビオラ

私たちがギターと呼ぶものを、ポルトガル語ではビオラと言います。ポルトガル語にもギターという呼び名の楽器はあるのですが、それはリュートの流れを汲む別の丸い胴体の楽器(下の写真)のことで、私たちが思う8の字形胴体のギターは、ポルトガル語ではビオラになります。

このポルトガル語のビオラは、ビウエラと語源を同じくしています。そして、ポルトガルには現在も16世紀のビウエラからの流れの中にあると考えられる各種の個性的なビオラがあります。ポピュラー音楽を中心に各地域で弾かれています。複弦5コースの10弦であるのが一般で、violas de 10 cordas(10弦のビオラ)とも呼ばれます。5コースであることからすると、ビウエラの流れを汲みつつ、バロックギターの影響を受けているのでしょうか?伝統的にスチール弦で、ビウエラがガット弦であることを考えると、いつの時点でどのような影響でスチールになったのか気になるところです。ポルトガルのビオラは、各地域で、形状、装飾、調弦に特徴的な個性があります。

1 Viola amarantina (ビオラ・アマランティーナ)… Douro Litoral(ドウロ・リトラル)地方

 

2  Viola braguesa(ビオラ・ブラゲサ) Minho(ミーニョ)地方とTrás-os-Montes(トラス・オス・モンテス)地方。ビオラ・デ・ブラガとも言う

3 Viola beiroa(ビオラ・べイロア)…Beira Baixa(ベイラ バイシャ)地方

4 Viola campaniça(ビオラ・カンパニサ)…Alentejo地方(アレンテージョ地方)

5 Viola toeira(ビオラ・トエイラ)…Beira Litoral.(ベイラ・リトラル)地方

 

6 Viola de arame(ビオラ・デ・アラメ)…madeiraマデイラ島/ Viola de arame terceirense(ビオラ・デ・アラメ・テルセイレンセ)…Terceira テルセイラ島/ Viola de arame micaelense(ビオラ・デ・アラメ・ミカエレンセ)…São Miguel サンミゲル島

7 Viola caipira(ビオラ・カイピラ)…ポルトガルからブラジルに渡ったビオラ

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