海を渡った小型ギターたち

ポルトガルのカヴァキーニョ その4

ポルトガルのカヴァキーニョの情報つづき その4

カヴァキーニョを連日追いかけているのは、ウクレレの起源を遡ってやがてルネサンスギターにたどりつくかどうかという問題意識で、カヴァキーニョを取り上げております。ウクレレとルネサンスギターを両側からトンネルを掘るようにしてつながるかどうかという研究ですので、いずれカヴァキーニョ以外の中間にありそうな楽器も随時掘り下げていこうと思っています。(^^

さて今日のカヴァキーニョ情報は、ミーニョ地方以外の地域のカヴァキーニョの特徴について

<コインブラcoimbra(ポルトガル中西部の都市)のカヴァキーニョ>

・ミーニョタイプのカヴァキーニョは、20前世紀末にはコインブラ地方でも頻繁に使われていた。ヴィオラと並んで、サン・ジョアンの祝祭日、街のかがり火でギターやタンバリンやトランペットとともに、またアカデミーのセレナーデで、数10年前まではよく演奏されていた。マカロネア誌にマチーニョの名で広く紹介されていた。

・コインブラのカヴァキーニョは、この地方のヴィオラにならって、上からDGBEと調弦されていた。

・しかしコインブラのカヴァキーニョは、ヴィオラと同じように、やがてギターに取って代わられ、現在ではなくなってしまった。

<リスボンのカヴァキーニョ(ポルトガル中南西部)>

・リスボンのカヴァキーニョは、ミーニョのカヴァキーニョと外観や寸法が似ているが、ネックは少し短く、ボディは長く、ミーニョのモデルより少し幅がある。

・南部では指板がサウンドホールまで下がってきているため、北部のモデルより5cmほど大きい。

・指板と表板が平らにつながっておらず、指板が高くなっている。フレット数は17に増えており、サウンドホールまで伸びている。

・弦の種類も異なる。…スチールでなくガットということか?

・サウンドホールの形は常に丸である。

・19世紀中頃には、都市のダンス教師がレッスンで使用し、時には女性も演奏した。そのため、バンジョリンのようなこの種の楽器と同様に、撥(パルヘータ)で各弦にトレモロをかけ、ポンティックに演奏する。

<アルガルヴぇ地方(ポルトガル最南端地域)>

・アルガルヴェ地方では、カヴァキーニョはtunaの楽器としても知られており、「ソロまたはマンドリン、ヴィオラ、ギター、その他の楽器と一緒に」、リスボンと同様に、都市のポピュラーまたはブルジョワで、エストゥダンティーナやセレナーデなどに使用されている。

tunaとは、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカ諸国で、伝統的な大学の服を着たグループで伝統的な楽器を演奏し、セレナーデを歌うというもの。弦楽器で構成される。上の写真はtunaの写真例。