ウクレレ豆話

rajão ラジャン と Braguinha ブラギーニャ の比較

次の動画はブラギーニャと並んでウクレレの祖先と言われるラジャンrajãoの音。これは1890年のラジャンですから、ウクレレがハワイに生まれる最初期のものです。

ラジャンは、マデイラ島で生まれた唯一のマデイラ島固有楽器といわれたりします。もっとも、比較的近くのスペイン領カナリア諸島にティンプレという小型5弦楽器がありそれとの交流の可能性も考えられ、またポルトガルのカヴァキーニョの流れと見る人もいるので、ガラパゴス的に完全に閉じられた環境で生まれたわけではないでしょう。様々な相互影響の中で土地に合わせながら楽器は変化していくので、何をもって固有楽器というのかは難しいところです。ブラギーニャもマデイラ島の農民の固有楽器と解説をする人もいますが、これは明らかにポルトガル本土のカヴァキーニョの中に全く同じものがあるので、ちょっと無理があるようです。マデイラ島の関係者は、ラジャンにしてもブラギーニャにしても、マデイラ島の固有楽器なんだと言いたい気持ちがあるのかもしれません。それだけマデイラ島の音楽を愛していて、「ああ、これぞわれらが音楽」という誇らしい気持ちがあることが垣間見えます。だからこそ、マデイラ島の移民たちは、楽器をハワイまで手放さずに持ってきて、ハワイでいつも音楽を奏で、ハワイに広める労力を惜しまなかった、それが今のウクレレ文化につながった、という見方をすると、なんだか歴史のロマンを感じます。

話しが最初から脱線してしまいました。

ラジャンのスケール(弦長)は、420mm~440mmの間が通常の大きさで、これは現代のテナーウクレレと同じサイズ。ブラギーニャの250mmから345mmの上限値がソプラノウクレレのサイズと重なってくるので、両方を合わせて現代のウクレレの大きさの構成に繋がっていると考えられます。

ラジャンは5弦で上からDGCEAなので、下4弦は現代のウクレレと全く同じ。ブラギーニャはDGBDのオープンGチューニングで、現代のウクレレよりかなり高音域。全体を4弦とする構成はブラギーニャから取り、チューニングの内容はラジャンから取り、現代のウクレレに進化していると考えられます。

ラジャンの通称としてタロパッチウクレレと呼ばれることがあるのですが、これはハワイの常食タロイモの畑というのが名前の由来。英文の解説の中には、これは白人がハワイ人をばかにして付けた蔑称なのだと解説しているものがあるのですが、ハワイで最初にウクレレ製作を開始したポルトガル移民マヌエル・ヌネスが、ウクレレラベルに「タロパッチ・フィドルズの発明者」と誇らしげに印字して宣伝しており、単なる蔑称とは考えにくいように思います。むしろヌネスたち最初のウクレレ製作者が、マデイラ島の楽器をハワイ向きにブラッシュアップして、ハワイ人のハワイ人によるハワイ人のための楽器として普及させようという意気込みを込めたネーミングである可能性が高いと思います。

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