弦のちょうど真ん中(12フレット)を押さえたときに、ぴったりⅠオクターブ上の音が出るはずなのにそうならない。それを修正したいというのがオクターブピッチ(オクターブ調整、オクターブチューニング)の問題です。
音程を変える要素にはふたつあって、①ひとつは弦長を変えること、②もうひとつは弦の張力を変えることです。弦長を短くするほど音は高くなるし、張力を強くするほど音は高くなります。
オクターブピッチの問題は、このふたつの要素が混在してしまうことから発生していると私は考えています。弦の長さを半分にすれば音程は1オクターブ上がるという①の要素を基礎に12フレットの位置決めをしているのに、12フレットを押さえたときに押さえる力で張力が上がってしまうという②の要素が同時に入り込んでしまうのです。
これを補正してやらないと、押さえたときにいつも音がシャープしてしまって、ドレミファソラシドの頭とお尻がそろわないことになるので、さてどうしようというのがオクターブ調整です。
これを補正してやるには、次のふたつの方向性が考えられます。
A 弦を押さえたときに音がシャープしてしまうわけだから、弦を押さえたときに少しだけ弦が長くなるようにしてやれば、その分だけ音が低くなって補正されるという発想の方法。→ブリッジを数ミリ下方(テールの方)にずらすか、サドルを削って数ミリ下方にずらしてやればよい。
B 弦を押さえてないときに音がシャープしないわけだから、開放弦のときに少しだけ弦を短くなるようにしてやれば、その分開放弦の音が高くなって補正されるという発想の方法。→ナット(ゼロフレット)の位置を数ミリ下方にずらしてやればよい。
どうでしょうか。混乱しますかね。弦を長くする方向と弦を短くする方向の真逆の補正方法があるなんてね。弦を押さえた状態を基礎に考えて、その下側を長くして補正しようというのがAで、弦を押さえてない状態を基礎に考えて、上側を短くして補正しようというのがBです。
実際、どちらの方法も行われています。
エレキギターなんかは、サドルの位置を前後に動かして調整する機構が最初からあったりしますが、あれはAの方法ですね。ウクレレではそういう機構はないので、サドルをやすりで削って位置調整をしたりします。ウクレレ作成段階なら、ブリッジの張り付け位置を最初から下にずらしたりします。これは全部Aの方法です。
他方、Bの方法で補正しようとする商品がありますね。スペーサーと言われるものです。
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これをナットの下側に張り付けることによって、弦長を短くして音を補正しています。ウクレレ作成段階なら、ナット(ゼロフレット)の位置を最初から数ミリ下げて作ったりしますが、これもBの補正方法です。ほかにも、ナットに事後的に加工することで補正する方法も開発されているようです。
今日はちょっと難しい話でしたね。こういう説明のしかたは、ほかではあまり見ないですね。理屈のところは私の見解なので、興味ある方はご自分でも考えてみてください。違う説明の仕方をしている方もいらっしゃって、私の見解が正しいとも限りません。(*^^)v