海を渡った小型ギターたち

マデイラ島の5コース9弦のギター ヴィオラ・ダラメ(Viola d’Arame)

ビオラ・ダラメは、マデイラ島の5コース9弦又は10弦のスチール弦ギターです。ビオラ・ダラメという名前は、まさにワイヤービオラ(ワイヤーギター、ポルトガル語ではギターのとことをヴィオラと言う)の意味です。

このギターは、シャランバ(Charamba)というマデイラ島とポルトサント島(マデイラ諸島のひとつ)の民衆音楽の伴奏楽器として、パーティや歓楽の場で飲み騒ぐ人に使用されたそうです。シャランバとは、ヴィオラ・ダラメの伴奏と歌による即興ジャンルで、論争、歓声、煽り、拍手という、要するにやんややんやの中での即興掛け合い音楽のようです。そしてそれは多くの仕事歌(小麦や草のつみとり等)の基礎ともなっているそうです。次の動画の最初の3分くらいを見るとシャランバの雰囲気がなんとなくわかります。

これは今であればラップみたいなものかもしれません。順繰りに語る(歌う)ことで掛け合いをするようです。本当はお酒を飲みながら(マデイラワイン?)やんやとやるのでしょう。ビオラ・ダラメという楽器は、最近はより音楽性を志向する様々な使い方がされているようですが、かつてはこのシャランバの時の楽器という面が強かったようです。調弦もシャランバのレパートリーに合うようになっているのでしょう。

ビオラ・ダラメ5コース9弦の調弦は、g(複弦オクターブ)、d(複弦オクターブ)、g(複弦ユニゾン)、b(単弦)、d(複弦ユニゾン)です。これはつまりオーブンGチューニングで、ハワイ音楽のタロパッチチューニング(スラックキー)と共通してきます。こんなところにもハワイとの繋がりが垣間見えます。

このビオラ・ダラメが、ブラギーニャやラジャンと一緒にハワイに渡ってきていないかハワイの写真を探してみたのですが、見た範囲の写真では確認できませんでした。

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