海を渡った小型ギターたち

ファンダンゴ Fandango

この録音はメキシコのベラクルスにおける祝祭的な集まり、ファンダンゴです。音楽の題名は“El Siquisiri”。ソン・ハローチョの音楽のひとつです。

始まりから終わりまでが全部録音されているので全体がよくわかります。画像がないことで、音だけに意識を集中することができます。


 

「集まってくる人たちの話し声、花火の音、楽器の調律の音、散発的に繰り返される練習、やがてレキント・ハローチョがメロディを鳴らし始めると、ハラナ・ハロチャの掻き鳴らしがタイミングを合わせて参加し、板(タリマ)の上で足を踏み鳴らす踊り(サパテアード)の音が始まり、女性の歌声が入り、男性の歌声に切り替わり、繰り返し循環するリズムの中、タリマを踏むスタイルや強弱に変化があり、たくさんの人の演奏と歌と踊りが交わり、お互いに耳を傾けながら手と足を動かし続けて30分。リズムが少しゆっくりとなり、音楽が終わり、拍手と歓声、そして人々の話し声」

この全体がまとまりのある音楽のように聞こえます。調律や話し声も含めて、そこにいる人全員が参加してひとつの音楽を形成しています。30分間の音と動きに参加していると、ある種の高揚感の中で、個人としても集団としても温まり、自然に調律されるような癒しがありそうです。

これは聞く音楽というより、参加する音楽なのでしょう。メキシコにおける様々な問題を語るときに、ソン・ハローチョとファンダンゴが取り上げられるゆえんは、音楽に参加することで生まれてくる一体感に秘密がありそうに思います。

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