昨日紹介したアルゼンチンなどのガウチョの古い写真や絵には、ギター(6弦)を持ったものがたくさん見つかります。ガウチョの生活にはギターがつきもののようです。
北米のカウポーイは西部劇のイメージでライフルを手にしているところが思い浮かびますが、こちらガウチョはギターを手にしているところにガウチョの特徴が現れていそうです。ガウチョにはPayadaというギターを弾きながら歌う即興詩があります。
このpayadaとは、南米各地にある即興詩朗読の音楽文化です。アルゼンチン、チリ、コロンビア、ウルグアイ、ブラジルなどに見られます。payadaはスペイン語の発音ではパシャダみたいに聞こえます。スペイン語のウイキペディアのpayadaの冒頭説明にはこんなふうに書いてあります。
「payadaヒスパニック文化に属する音楽詩芸術であり、アメリカのさまざまな地域で大きな発展を遂げ、payadorという人がギターを伴って韻を踏んで即興で朗読します。payadaがデュエットであるとき、それは「対位法 -contrapunto」と呼ばれ、歌われた決闘の形をとり、各payadorは相手の質問に答えなければならず、それから同じように尋ね続けます。これらのデュエットpayadaは通常数時間、時には数日続き、歌手の1人が彼の候補者の質問にすぐに答えないと終了します。」
Payadaは例えばこんな音楽です。この動画は、雰囲気的に映画の一場面でしょうか。北米ウエスタンが銃の撃ち合いで対決を表現するのに対し、歌に乗せて対決を表現するところに文化的特質がうかがえます。
次の動画はpayadaに属するのかどうよくわからないのですが、ギターを弾きながらまっすぐに熱く語るアルゼンチン音楽の魅力が迫ってきます。
次の動画は音楽のあるガウチョの暮らしの雰囲気が感じられます。
きりがないのでこのくらいにしておきますが、ギターを弾きながら詩を語り、即興的に対話し、対決し、掛け合いを皆で楽しむという形式は、イベリア半島起源のヒスパニック文化圏各地にあり、例えば、先日書いたチリのギタロン・チレノ(Guitarron chileno)を弾きながら歌うエル・カント・アロ・ポエタ(el Canto a lo Poeta)や、それからマデイラ島のビオラ・ダラメを弾きながら歌うシャランバ(Charamba)なども、即興の掛け合い形式があることは以前にも書きました。
イベリア半島起源の共通の特質のひとつかもしれません。