ルネサンスギター

1733年スペイン沈船のルネサンスギターとJarana Jarocha ハラナ・ハロチャのこと

上の写真はメキシコのハラナ・ハロチャというメキシコの楽器です。

一十舎では、1733年にフロリダ沖で沈没したスペイン船から引きあけられたギターの復元図面をもとに、4コース8弦のルネサンスギターを製作しています(下の写真)。

このスペイン船ギターのヘッド部には次の写真のように8個のペグ穴が確認できるので、4コース8弦のルネサンスギターであろうと推測されているわけです。

ただ、ここでひとつ検討すべきことがありまして、メキシコのベラクルスの伝統的なギター型楽器に、 Jarana Jarocha (ハラナ・ハロチャ)というものがあるのですが、これが同じく8弦なのに5コースなのです。1コースと5コースが単弦で、2コースから4コースが複弦という構成です。(冒頭の写真)

1733年のスペイン沈船もメキシコのベラクルスに寄港しており、地域的にも重なります、このスペイン船ギターもハラナ・ハロチャのように5コース楽器であったとすれば、ルネサンスギターと異なる分類を検討する必要が出てきます。一般にハラナ・ハロチャはビウエラまたはバロックギターの流れを汲むと言われているのです。

この点について結論を言いますと、スペイン船のギターはやはり4コースであっただろうと考えています。ネックの幅が現在のウクレレとほぼ同じサイズで、5コースにすると弦がおさまらないと思われるのです。

そんなわけで、このスペイン船のギターは4コース8弦のルネサンスギターの一種と考えて矛盾はないだろうと考えております。

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