屋久杉はとても柔らかいんです。
ちょこっと何かが触れただけで、すぐにへこみます。
たとえば、弦交換のときにナイロン弦の先が触れて少し圧が加わっただけでもへこんで傷がつくことがあります。
木くずの上に置いても傷がつくし、工具の先が触れても傷がつきます。
というわけで細心の注意を払って製作にあたるのですが、長い工程の途中にはえてして「やっちまったぜ」という瞬間が訪れがちなのです。
昨日はですね、そのやっちまったぜ君がドアをノックしまして、上の写真のような傷がつきました。ブリッジの下側のはしっこに、ちょんちょんとふたつ小さな傷があるのがわかるでしょうか。
それからこれも。
こちらは、ブリッジの上側にやはりちょんちょんとありますね。
ブリッジ貼り付けの時に道具があたりました。
まあ気にしなければ気にならないですね。その程度の傷です。
でも、気にすると気になりますね。そのくらいの傷です。
ですから、このウクレレを手にする人には、「気にすんな」と言いたいです。
屋久杉トップ、黒檀バック、指板とヘッドは鳥海山噴火で土に埋もれた2600年前の古代木の神代けやき、というなかなかレアの一本ですのでね、できあがったら販売しようとは思ってますが、ちょっとお値段は考えないといけませんかね。
「気にすんな」と言われても「気になる」という人には、その傷は製作者か付けた貴重な傷というこで、傷も含めてまるごと一緒に「気に入ってしまおう」と言いたいですね。
2600年前の鳥海山噴火で土の埋もれた出来事も、作者がブリッジ作成時に道具の角をあてたことも、まあ長い歴史の1ページとして同じようなもんさ……ということで、脳内で情報処理していただくこと、作者も心が楽になります。いっそのこと、この傷も貴重品の一部として世界遺産的なものに認定していただくことさらにありがたいです。( 一一)