三味線の音を「チントンシャン」などと言いますが、これは適当な語呂合わせではなく、どの弦を押さえるかという情報が入っており、たとえば、
一の糸の開放弦…ドン 一の糸を押さえた音…ツン
二の糸の開放弦…トン 二の糸を押さえた音…ツン
三の糸の開放弦…テン 三の糸を押さえた音…チン
二の糸と三の糸の開放弦の重弦…シャン
二の糸と三の糸を押さえたときの重弦…チャン
などという内容です。
さくらの口三味線がこちら。
こうして奏法の情報を声に出して歌う形に変換すると、教えやすい、覚えやすい、手元に楽器がなくても練習できる、演奏前に頭の中でシミュレーションすることで記憶を整理したり強化することができるという、なかなか画期的な情報整理術。「唱歌」という名前で呼ばれます。「しょうが」と発音し、文部省唱歌の「しょうか」とは区別します。
唱歌は雅楽、能楽、狂言、長唄などにこの伝統があり、太鼓、尺八、龍笛、三味線など、楽器ごとに異なる唱歌があります。次の動画は太鼓の例。
海外ではアジア圏に見られ、例えば韓国の伽耶琴カヤグムの口音や杖鼓チャングの口音、インドのミラーブという太鼓の口太鼓、ミャンマーのパザスワイン(太鼓ことば)などがあります。