今からさかのぼること約300年前の1733年、様々な財宝を積載してハバナを出航しスペインに向かっていたニュースペイン艦隊の18隻の商船と4隻の護衛武装ガレオン船がフロリダ沖で嵐に遭遇し沈没又は浸水する事件が起きました。この時の一隻サンフェルナンド号に一本のルネサンスギター(4コース8弦)が積載されており、その残骸が現代になって引き揚げられ、復元図面が作成公開されました。その図面に基づいて製作したルネサンスギターがこちらの写真です。
元々ルネサンスギターは今から500年ほど前のルネサンス時代に生まれて18世紀頃までヨーロッパや中南米で盛んに使用された楽器で、ウクレレの最古の祖先とも推測される楽器なのですが、このサンフェルナンド号のギターの復元図面を見ると、ボディの大きさは現代のコンサートサイズウクレレとほぼ同じで、ネックの握り幅も現代のウクレレと同じで、ルネサンスギターとウクレレの歴史的なつながりをかなり色濃く残しているようです。
そこで一十舎では、このスペイン船のルネサンスギターのボディ形状と大きさをそのまま復元し、現代ウクレレの指板を付けて、ウクレレ用のサドルも搭載し、複弦を単弦にして、ウクレレを作成しました。そしてアクイラから古楽器用として販売されているナイルガット弦(ウクレレ用に販売されているナイルガット弦とは異なります)を張って、古楽器の響きをウクレレで再現しました。柔らかな弾き心地で、古楽器的な軽やかで明るい音のウクレレになりました。
(もちろん普通のウクレレ弦を張っても何ら問題なく使用いただけます)
この古楽器スタイルウクレレに愛称を付けるとすれば、 ルネレレ でしょうか?
とても心地よい音に仕上がり、評判もたいへん良いので、今後もこの形で製作していく予定です。試奏動画をご覧ください。サウンドホールに飾りがないタイプの試奏。飾りがあるタイプでも音はほとんど変わりません。↓
なお、このスペイン船のルネサンスギターの詳細についてさらに知りたい方は、こちらにまとめましたのでどうぞご覧ください。→1733年フロリダ沖スペイン沈船にあったルネサンスギター|ルネサンスギターとウスレレのすすめ 一十舎 (Ittosya)