ルネサンスギター

どうして複弦なんですか 複弦のメリット 複弦の理由

ルネサンスギターは複弦です。バロックギターもそう。ほかに、リュートとか、マンドリンとか、複弦の撥弦楽器はいろいろあります。

そこで当然出てくるのが、どうして複弦? ということなのですが、一般に言われる理由は、①音量の増大と➁音の減衰が遅くなる、というふたつの理由です。その代表的な説明文はこちらです。日鉄SGワイヤ株式会社のホームページからの引用です。https://www.sgw.nipponsteel.com/story/music/02.html

音響工学の研究で、単なる音量の増大だけでなく、音色にも深く関係していることがわかってきています。弦と響板が結合している場合、複弦の方が単弦より振動の減衰が遅くなり、余韻音が残るのです。この時、2本あるいは3本の複弦の間で、全く同じ条件に調律するとこの特性が失われますが、わずかなずれを与えると減衰がゆるやかになるのです。現在のようにチューニングメーターという便利な道具もない時代に、強度の低い材料を用いたわけですから、複数の弦を全く同一条件に張ることはほとんど不可能で、わずかなずれは必然的に生じていたものと思われます。

ふーむ、そうなんですね。しかし、①の音量増大については、弾いてみた実感としてはあまりありません。歴史的には、大ホールでの演奏のために音量増大が求められるようになると、ギターは単弦化してテンションを強くしていく方向に進化したので、実際の流れは逆でした。➁の微妙なずれの結果として音の減衰が遅くなるというのは、おもしろいですね。

この説明だけでは言い尽くせていない感じが正直あって、複弦特有の音の広がりとか立体感を表現する言葉を探していたのですが、昨日、そういう表現を見つけたのでご紹介します。吉田剛士著「まるごとマンドリンの本」から抜粋です。

音量に関する問題というよりは、むしろ複弦にすることで得られる響きの豊かさが求められたのではないかと思います。二本の弦は全く同じピッチに調弦しますが、微妙に干渉し合い、エレキギターのエフェクトでいうとコーラスやフェイザーのようなジュワッとした「にじみ」か得られます。また、二本の弦をゆっくり弾くと微妙な時間差ができてディレイのような効果も得られます。そのような、いわば、「自然のエフェクター」として複弦が利用されたのではないでしょうか。

この説明はわかりやすいですね。ジュワッとしたエフェクトです。

わかりにくくいうとジュワッと肉汁たっぷり餃子感です。(われながらすごい蛇足感あり🗿)

 

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