YouTubeのリアクション動画が、かなり多くの視聴数を稼いでいます。例えばこんなのです。
このリアクション動画では、現段階の数字で、三か月の間に17万視聴を獲得しています。この数字は今後も伸びていくことでしょう。
音楽を何年も学び続けて渾身の演奏をYouTubeにのせたとしても、数百視聴止まりであることが多い中、人の演奏を聴いて好きに反応しているだけで、十万も百万もの視聴を稼いでしまうというのは興味深いことです。
これに否定的な意見を持つ人もいるかもしれません。人のふんどで相撲を取る、という諺があてはまりそうです。
しかし、音楽というものをひとつの共感現象と考えるとき、リアクション動画は共感の幅を広げるものとして、音楽の本質に通ずるものを持つように思えます。
良いコンサートを考えてみると、まず演奏している音楽家同士に共感があり、次に音楽家と聴衆の間に共感が生まれ、聴衆全体に共感が広がり、会場が一体となったような喜びが生まれます。YouTube等によって、世界中の個人が好きな時にコンサートを見て、その共感に加われるようになり、そこにリアクション動画が登場すると、個人の共感にさらに共感を重ねることで共感が増幅し、聴衆の中の個人と個人が繋がるようになりました。他人の共感能力を利用して自分の共感をより深くするということも起きており、実はリアクション動画を別々に視聴している数十万という人が、見えないところで異時的無意識的に共感しているという、新しい共感が生まれているのかもしれません。
ひとつの音楽を中心にして巻き起こるこれらの共感の広がりは、今までとは異なる次元の領域に入ってきているような気もします。リアクション動画によって、共感が共感を増幅させていく過程は、優れて音楽的な現象のように思えます。