海を渡った小型ギターたち

海賊船の楽器の使い方

船で運ばれた楽器たちをテーマにしていると、時々海賊船の楽器がちらちら見えてきます。

こちらのスペイン語のサイトには概要下記のように書いてあります。¿QUÉ INSTRUMENTOS MUSICALES ESTÁN MÁS ASOCIADOS CON LOS PIRATAS Y OTROS MARINOS?

海賊船では音楽は日常生活の大きな部分を占めており、優れた音楽家やシャンティは、乗組員として受け入れてくれる船を見つけるのに苦労しなかった。海賊の黄金時代に関連する音楽は、マンドリン、フィドル、ホイッスル、ファイフ(フルートの小型で複雑でないバージョン)、またはより一般的なコンサーティーナ(アコーディオンの小型版)などが一般的であっただろう。

コンサーティーナは当時とても人気があり、シャボレロたちは自分の楽器に大きな誇りを持っていた。木彫りの装飾が施されたものや、金や銀の貴金属がはめ込まれたものなど、非常に豪華なものが多い。現在の楽器と同じように、花瓶のモデルもあったが、現在と同じように、お金を払えば手に入るものである。

音楽が重要視されたのは、船員がラインを引き、甲板を片付け、帆を繕い、マストやヤードを修理するなどの作業をする際に、時間を守るのに役立ったからである。一日が早く過ぎ、歌を歌うことで仕事の単調さを紛らわせることができた。また、船のラインは非常に重いので、皆が時間通りに現れることが、仕事を終わらせる最も早く簡単な方法だった。

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私は専門家ではありませんが、ドラム、フィドル、おそらくフルートと言ったところでしょうか。ドラムは効率とコミュニケーションの手段であったため、多くの海洋文化に普及していました。漕ぎ出しの速さを確立したり、行動を合図したり、戦いの士気を高めたりなど。

船乗りは場所を取らず、簡単に持ち運びができる楽器を持参していた。北米東海岸でフィドル演奏が盛んなのは、船乗りがフィドルを持ち込んで、インディアンや入植者の文化に紹介したからだ。数年前に読んだ記事の記憶が正しければ、ハープや小型の管楽器など、手に持って演奏するバリエーションもあったようだ。

いろいろ示唆に富む会話ですね。ここには撥弦楽器はマンドリンしか触れられていませんが、スペイン人やポルトガル人の海賊の場合は、小型のギター型楽器を使用していた可能性は高いように思います。イベリア半島はギター型楽器が中心であり、両国の植民地には小型のギター型楽器が大量に残っているからです。ただ、海賊は、世界の富を当初独占していたスペイン船やポルトガル船の富を略奪するという形で始まった経緯があるので、海洋後発国となったイギリス、フランス、オランダ出身の海賊が多かったようです。そうすると、使用された楽器もお国柄を反映してフィドルや笛の使用頻度が多くなった可能性がありそうです。

さて冒頭の絵ですが、これは海賊がまさにアメリカ船を襲おうという場面のようです。海賊がフィドルを弾いています。海賊は一般船を装って安心させて近づき、突然海賊旗を掲げて一気に制圧するという戦法を取ることが多いようなのですが、この絵はまさにその一般船を装っている場面ようです。武器を持った連中が伏せて隠れています。フィドルに合わせてダンスをする男女(女の顔にひげがある)とか本を読む男とかを見えるように配置しています。襲われる船にはアメリカ国旗が描かれており、旗のデザインを見ると、たぶん1795年頃の旗に見えます。もう海賊の黄金時代(1650~1730)を過ぎて、海賊最後の時代ころです。海賊はこんなふうに海賊行為の道具としても楽器を使用していたことがわかります。ほかにも、戦闘中に楽器で不協和音を出して相手を威嚇したりしたという話も以前に聞いたことがあるですが、その文献的な確認はとれていません。

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