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イスラムと音楽 1 音楽は禁止なの?

イスラム教は音楽を禁止している又は禁止しないとしても推奨はしない、ということを聞くことがあります。音楽は飲酒や賭け事と同様に人々を惑わし間違った方向に導き神への信仰をおろそかにさせるというのが禁止論の一般的な考え方のようです。

2015年のフランス・モーリタニア合作の映画『禁じられた歌声』(フランスセザール賞で最優秀作品賞・監督賞・脚本賞ほか7部門を受賞)には、イスラム過激派に占領された西アフリカ・マリ共和国北部の古都ティンブクトゥで、音楽やサッカーといった娯楽が禁止され、人々が厳しい規制と処罰にさらされていく様子が描かれています。

2015年のパキスタン映画「ソング・オブ・ラホール」にも、タリバンによって歌舞音曲が禁止されたパキスタンの伝統音楽の担い手たちが、伝統楽器によるジャズ演奏に活路を見出し、サッチャル・ジャズ・アンサンブルとしてニューヨークに出ていく様子が描かれています。次の動画はサッチャル・ジャズ・アンサンブルの東京公演の演奏です。

またアフガニスタンでは、2021年、地元の歌手のファワド・アンダラビ氏がタリバンによって銃殺されています。タリバンがアフガニスタンを支配していた1996年から2001年まで、音楽は宗教的な意味合いを持つ場合以外は非イスラム的として非合法とされ、音楽を聴いたり演奏したりしただけで処罰され、楽器は破壊されたということです。ファワド・アンダラビ氏の歌はこちらです。☟

このように、アフリカからアジアまで、イスラム教が信じられている地域には、音楽を愛し大切に受け継いでる人々と、音楽を厳格に禁止しようとする人々の両方がいることがわかります。

では実際のところ、イスラム教は音楽を禁じているのでしょうか。

イスラム教の教えのよりどころには、神の啓示そのものとされる「コーラン」と、預言者ムハンマドの言行録とされる「ハディース」のふたつがありますが、それらの中で音楽がどのように書かれているのか気になるところです。次回、コーランとハディースの音楽に対する扱いを見てみたいと思います。

つづく

 

 

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