楽曲の背景の持続音であるドローンにある種の心地よさを感じる理由について、次のように色々な方向からの考え方が見られます。
・人は胎児のときから、母の鼓動・血流・消化管の動きなどの持続音に包まれていた。持続音に平穏を感じるのは、そのような胎内記憶と関係があるのではないか。
・人はいつも環境音とともにあり、風の音、植物が触れ合う音、虫の声、自動車や産業活動による騒音などの混然とした持続音によって日々の平穏感が支えられている。ドローンはそのような環境音に通じている。
・ドローンは、宇宙的なもの、永遠不変のもの、あるゆるものがそこから生まれそこに帰りゆくところ、普遍性、神性などの象徴のように感じられる。
・インドのラーガという旋律システム(旋法のようなもの)では、ドローンが基準音を提示し続けることで、即興演奏や様々な装飾を支えている。
・ソルフェジオ周波数など一定の周波数が心身に癒しの効果があるということで、一定の持続音が楽曲の背景にあることのプラス効果がある。
などなど、様々な方向からの意見があるようです。
これらのほかにも、例えば大道芸人であれば、旋律のほかに複数のドローンが同時に出る楽器があれば、一人二役三役のにぎやかな効果があって人集めがしやすかったとか、戦争などの場面では途切れない大音量の迫力で士気を高めたり敵を恐れさせる効果があったなど、実利的な理由から生まれたという面もあったかもしれません。