作レレ

ブレース 力木 について

この写真のように、板の裏側に貼り付けた骨組みのような棒をブレースとか力木とか言います。この写真はギターのもので、一十舎のウクレレのブレースではありませんので、お間違えないようにお願いします。ギターの方がブレースが沢山あって、イメージを伝えやすいと思ってギターのブレースの例を探してきました。

ブレースの役割は、板の強度の補強の意味もありますが、主たる目的は、板の振動を制御して一定の音響効果をあげようとすることにあります。

実は、ギターやウクレレの製作者が採用しているブレースの構造はひとつではありません。ものすごくたくさんあります。
縦に並べたり、放射状にしたり、編み目状にしたり、X状にしたり、本数を変えてみたり、伸ばしてみたり縮めてみたり、左右不対称にしてみたり、穴をあけてみたり、数えきれないほど様々なブレースがあります。
その多種多様さもあってか、ギターウクレレ好きな人たちの関心の的にもなりやすい分野で、マニアの間で話題になることも多いのですが、私はブレースを語らないできました。語らないというか、語れないできました。

棒を一本増やしたことで、どのような振動変化があるのか。
棒を貼る位置や向きによって、どの振動がどちら方向に影響を受けるのか。
長さを変えることで、何が制御できるのか。
それらの法則性について関心を持ち続けているのですが、全体像を整合的に把握できていません。

調べて出てくるのは、体験的な話が多いです。とある名工はブレースの角度を大幅に変えて画期的な音を実現したとか、スペイン風の音を取り戻したとか、様々な弾き方に安定して反応するようになったとか、画期的なブレースへの夢がふくらむ話ではあるのですが、情報価値を測り難いのです。結局のところ、様々な製作者が、自分が思いついた仕組みを情熱のままに試してみて、体験的によりよい音を手探りしてきた結果、千差万別のブレース構造が存在しているようなのです。それらの体験を総合して理論化することは、実はまだこの世界ではあまりできていないのかもしれません。できていないからこそ、画期的なブレースの夢をこめて、多くの人が情熱的に語り合っているのかもしれません。

この分野については、全体像のイメージがもててからでないと語れない気がしていて、わからないことが多すぎるのです。

ブレースを貼る位置、ブレースを貼る向き、ブレースを貼る長さ、ブレースの太さと高さ、これらの要素の相互作用に一定の法則性を見出すことはきっと可能なのだと思います。変数が多すぎてまとめることは至難のような気もします。ボディ形状が違うと、ブレースの効果が真逆になったりすることもあるかもしれません。それでも、大きな方向性を示唆する情報をまとめることは可能なのではないかと思っていて、今後もアンテナを立てていきたいと思っています。
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