骨楽器の続き。なんと人骨を使った楽器もあります。
冒頭の写真は、頭蓋骨のお椀形の部分をふたつ張り合わせて皮を張ったチベットの楽器「ダマル」。でんでん太鼓のように回し振って使います。単なる楽器を超えて、霊物という位置づけのものです。
このダマルは、チベット仏教僧が使用するもので、家畜や穀物の豊穣を祈願する呪術儀礼や病気直しの祈祷に際し、仏僧がダマルをうち振りながら神霊の降臨により憑依状態になります。ダマルは汚れを知らない若い男女の頭蓋骨を組み合わせて作らなければならないと伝えられています。日本に室町時代に中国から入って来た儀礼用の振り鼓が、江戸時代頃には庶民の玩具となり、泣く子をあやす「でんでん太鼓」になったそうで、でんでん太鼓の起源をさかのぼればダマルに行き着くのだとか。そんなわけで、「泣く子もダマル(黙る)」と唱えて楽器名を覚えるのが大変合理的かと。
なお、インドやネパール方面には、ダムルーという木と皮の振り鼓があり、シヴァ神の化身と言われているそうで、ダマルの起源は、チベット仏教のほかヒンズー教にも関係があるかもしれません。
下の動画は、「ダマル」で検索して出てきたものです。解説がないのでチベット方面のものなのかインド方面のものなのか明確ではありませんが、ダマルの使い方のイメージがわかるので載せておきます。☟