あれこれいろいろ

骨楽器3 カンリン 

昨日書いたダマルに続き、人の骨を使った楽器には、カンリンという大腿骨の笛があります。カンリンもダマルと同じくチベット仏教で使われます。

カンリンの面白いところは、犯罪者や非業の死を遂げた人の大腿骨を用いることが好まれるというところで、その理由は、故人が悪人だった場合は骨の中には「善」が残り、善人だった場合は骨の中に「悪」が残るとされるからです。悪人の骨で作ったカンリンを吹き鳴らす事で死者に「善なるもの」を施すことができるそうです。密教の儀式の際にこの笛を吹き鳴らしてこの世に彷徨う悪鬼を呼び寄せ、施しを行うのに用います。

仏教には、音の出るものとして、磬子 (きんす/けいす)、錫杖(しゃくじょう)、木魚(もくぎょ)、法螺(ほら)、鰐口(わにぐち)など、音が出る梵音具が色々あり、ダマルやカンリンもチベット仏教の梵音具です。これら梵音具は人に聞かせるばかりでなく、この世ならざる神仏や鬼神に聞かせるためにあるそうで、そこに一般の音楽とは異なる視点があるようです。

この世ならざるものにアクセスするという目的があるからこそ、人骨を使うという発想が生まれてくるのでしょう。

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