あれこれいろいろ

ガット弦 キルシュナー

上の写真は、ドイツのキルシュナー社のガット弦です。一本1000円以上します。今度出来上がるルネサンスギターに張るために仕入れました。

ガットというのは羊の腸(牛の腸もある)です。羊の腸は、楽器の弦になったり、肉を詰めてソーセージになったり、バドミントンなどのラケットに張ったりなど、ヨーロッパの方では大活躍の素材です。箱根八里の歌に「羊腸の小径は苔滑らか」という言葉が出てきますが、漢文に道の様子を表現するのに羊腸が出てくるのを見ると、中国の方でも羊腸は身近な素材なのでしょう。

楽器の弦の素材としての羊腸は、切れやすい、音が安定しにくい、テンションが弱い、入手しにくいなどから、ナイロン素材が出てくると、あらゆる楽器から消えていきましたが、その弱いテンションだからこそ出てくる音があるわけで、その音があらゆる楽器から消えていったのは一面残念なことでした。

ウクレレにもガット弦を張れないかと考えたりもするのですが、金属フレットとガット弦との相性はあまりよくありません。金属フレットが硬すぎて、弦が傷みやすいのです。やはりリュートやルネサンスギターのように、フレットもガットを巻いて作るフレットガットがよいようです。また、ウクレレの弦のテンションは、一本あたり4キロか5キロですが、リュート、ルネサンスギターなどの古楽器は2キロ台から3キロ台で、テンションも異なります。ガットの弱いテンションから出る音の魅力を強調しようとすると、リュートやルネサンスギターのように複弦構成が良いのかもしれません。

ガット弦を張れるウクレレのを作るというのも私のやりたいことのひとつとしてあるのですが、それはつまりルネサンスギターをそのまま単弦にするのと同じことのような気もします。

あれこれ書きましたが、とりあえず今日は、今日完成予定のルネサンスギターにキルシュナーのガット弦を張って見るつもりです。どんな音になるか楽しみです。