あれこれいろいろ

ハワイのカウボーイ「パニオロ」からはじまる音楽 メキシコのヴァケーロ

ハワイの音楽を語る上で欠かせない存在に「パニオロ」というハワイ版カウボーイがいます。

西洋人がハワイに持ち込んだ牛馬が野生化して繁殖し、1800年代の初めから中ごろにかけて、ハワイの街中にあふれて大変危険な状態になりました。当時のホノルルの新聞は牛害を伝え、「このような気の狂った動物に追いかけられて、命からがら逃げだした経験のない者はひとりもいないだろう」と伝えています。

そこでカメハメハ三世は、1832年、当時のメキシコ領カリフォルニアからヴァケーロと呼ばれる人々を招き、牧畜の技術をハワイに導入。このヴァケーロたちは、投げ縄で牛を捕らえ、柵で囲われた牧場に牛を集め、ハワイアンの人々に牧畜技術を教えました。ヴァケーロは、スペイン語を話すエスパニョールだったので、発音が転化してパニオロと呼ばれ、やがてパニオロはハワイの伝統の一部となっていきました。

このパニオロがハワイに伝えたのは、牧畜技術ばかりでなく、ハワイの音楽にも大きな影響を与えました。それは、ギター(スラックキーギターやスチールギターにもつながっていく)、ファルセットヴォイスです。そしてそれは世界の様々な音楽分野にも影響を与えていくことになります。詳しくはまた次回以降。