海を渡った小型ギターたち

ポルトガル本土のカヴァキーニョ その1

ウクレレの起源となったブラギーニャの起源をたどるとポルトガル本土のカヴァキーニョ・ウルバーノ(Cavaquinho urbano)であろうという話を昨日書きましたので、カヴァキーニョ全体の基礎情報を書いておきたいと思います。

一般にカヴァキーニョというと、ブラジルのカヴァキーニョが有名ですが、ここで書くのはポルトガル本土のカヴァキーニョについてです。ブラジルのものよりり少し小ぶりです。

主要情報源はCavaquinho – Instrumentos musicais tradicionais – Folclore.PT 及び https://cavaquinhos.pt/cavaquinho-historia

・カヴァキーニョは通常4弦の小型楽器で、フレット数は12、弦はガットまたはスチールが張られる(全部または一部を複弦にして6弦や8弦のものもある)。

・名称は、地域や時代で、machinho、machim、machete(これはポルトガルでは現在使われなくなった言葉だが、島しょ部やブラジルに残っている)、mancheteまたはmarchete、braginha又はbraginho、cavacoなどの名称が見られる。

・ポルトガル本土のカヴァキーニョには、ミーニョタイプ(minhotos cavaquinhos)とリスボンタイプの2種がある。ミーニョはポルトガル北西部、リスボンはポルトガル中西部の地方。

・カヴァキーニョが典型的なポピュラータイプとして登場するのは基本的にミーニョ地方である。

・ミーニョのカヴァキーニョのフレット数は12フレットで、表板と指板が水平につながっている。サウンドホールで一般的なのは「ライア(丸くない模様的な形状のことか?)」で、下方に切り込みが入っていることもあるが、丸い形のサウンドホールのものも存在する。

・ミーニョタイプの楽器の大きさは大抵はほぼ同じで、全長52cm、ヘッド部12cm、ネック17cm、ボディ23cm。トップの横幅は最大部15cm、最小部11cm。弦長(振動部分)は33cm。ボディの高さはあまり一定しておらず、ほとんどの場合5cmに設定されているが、非常に低いカヴァキーニョがしばしばあり、より明白な音を出す。バスト州やミーニョ州の他の地域では「マチンホmachinhos」と呼ばれる。

・材料は、最高級のトップ材はフランダース産の松で、 一般的にはリンデンやポプラが使われる。バックとサイドはリンデン、ウォールナット、チェリー。トップは通常これらの木の一枚板だが、多くの場合上半分がブラックウッドのものが作られる。ネック、ヘッド、フィンガーボードにアルダー材。

・ミーニョのカヴァキーニョの製作は、ギマランイスとブラガ(どちらもミーニョ州ブラガ県の都市)で製作され、今日ではポルトとブラガの周辺にある産業によって作られている。

・ブラガとギマランイスでは17世紀にはすでにこの楽器が作られており、ギマランイスの1719年のRegimento para o ofício de violeiro(ギター取引手続き規則? 翻訳不明確)では、当時製造されていた種類のうち、小さな4本の弦と5本の弦を持つものが言及されている。

・カヴァキーニョは、ミーニョ地方のラスガス (rusgas minhotas)に最も好まれる楽器のひとつである。(rusgas minhotasの動画↓)

https://youtu.be/HAAbXscDbzw

・カヴァキーニョは、これらの楽器や音楽のジャンルと同様に、儀式や厳粛な用途を排除した、遊び心と祝祭性にあふれた特別な性格を持っている。

・数十年前までは、ギマランイス市の農村で彼(カヴァキーニョのことか、あるいはrusgas minhotasのことか、翻訳不明確)が存在せず演奏されていない家を見つけるのは稀なことであった。

つづく

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