新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
2023年最初の話は、ウクレレの親の親のことです。
ウクレレの親のひとつがマデイラ島のブラギーニャ(Braguinha、冒頭の写真)なら、ブラギーニャの親、つまりウクレレの親の親は誰なの? というのが今日書きたい話です。
ポルトガル本土の4弦の小型ギターにはカヴァキーニョがあるので、カヴァキーニョがブラギーニャの親なのかなとまず思うのですが、見た目が今ひとつ似てないのです。この親からこの子が生まれるかしら? と思うのです。次の写真はどれもポルトガル本土のカヴァキーニョなのですが、冒頭の写真のようなマデイラ島のブラギーニャの細身の感じとかなり違っています。
似てないんだよなあと思いながら調べていくと、ポルトガル本土のカヴァキーニョに、次のようなスタイルのものがあることがわかりました。
名前はカヴァキーニョ・ウルバーノ(Cavaquinho urbano)。訳すと、都市型カヴァキーニョです。4弦ばかりでなく6弦もあります。これらの写真はどれも19世紀半ばから19世紀後半ころのカヴァキーニョ・ウルバーノです。ヨーロッパギター黄金期ともいわれる19世紀ギターのデザインを模倣しているようです。当時の流行最先端ギターのデザインを取り入れた、おしゃれ都会派カヴァキーニョとして生まれてきたのでしょうか。このデザインはマデイラ島のブラギーニャと非常によく似ています。ブラギーニャの親は、このカヴァキーニョ・ウルバーノの可能性が高そうです。
してみると、ブラギーニャがハワイに渡ったのが1879年ですから、カヴァキーニョ・ウルバーノが19世紀にマデイラ島に持ち込まれてからさほど時を経ないでハワイに渡ったのでしょう。ブラギーニャはその後もマデイラ島に根付くマデイラ楽器ですが、ポルトガル本土のカヴァキーニョ・ウルバーノがさほど変化しないうちにハワイに渡ったとすると、ポルトガル本土のカヴァキーニョ・ウルバーノそのものがウクレレの起源という見方も間違いではないかもしれません。