ウクレレ豆話

リエントラントチューニング Reentrant tuning

通常ギターのチューニングでは、1弦から6弦まで順繰りにピッチが低くなりながらギターの音域を広げていきますが、ウクレレの場合は、1弦から3弦までは順にピッチは低くなるものの、4弦で突然ピッチが高い方に戻ります。

こういうチューニングをリエントラントチューニング(Reentrant tuning)と言います。re enterということで、高音からの再突入、というような意味合いです。

このリエントラントチューニングの例は案外多く、バロックギター、5弦バンジョー、チャランゴ、シッターン、ベネズエランクアトロ、ラウト、メキシカンギタロン、メキシカンビウエラ、ラジャン、シタール、セオルボ、トンコリ、ウクレレなどに見られます。ルネサンスギターも、4コースには高音弦と低音弦の両方が張ってある点で、部分的にリエントラントチューニングが見られます。

ウクレレ等の小さな楽器では弦長が短いことから低音域に広げる弦の選択に限界があったこと、歴史的にルネサンスギターやバロックギターからの流れを受けついだことなどが、リエントラントチューニングが生まれた一因と言われます。

そしてもっと根源的な理由は、その軽快な響きの心地よさにあると思います。

楽器の進化は、低音弦側をどんどん増やして音域を拡大し迫力と表現力の拡大を追求した歴史が表舞台にある一方、反対に軽快さを求めた進化も確かにあり、民族楽器や庶民楽器の中に、少ない弦の数、小ぶりなボディ、短い弦長、そしてリエントラントチューニングとして、目立たないながらも確かな結実があったのではないかと思います。

 

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