ウクレレ豆話

ブリッジずらしによるオクターブチューニングは1フレットから11フレットにしわ寄せがないのかという話

前回までの話は、

12フレットで、弦高3㎜の状態で弦を押さえると、張力が上がって約30セントシャープ(1㎜あたり10セント)してしまうけれど、

ブリッジ(サドル)を3㎜テール方向にずらすことで30セントフラット(1㎜あたり10セント)するので、差し引きゼロになって補正できるはず、

ということでした。

でもですね…

この話はあくまで、ゼロフレットの音と12フレットの音がオクターブの頭とお尻として一致するという話でして、途中の1フレットから11フレットのことはあまり考えてないのです。”(-“”-)”

たとえていえば、長男と末っ子のことは考えてるけど、二男から11女まではほったらかしで大丈夫なんですか? という、ことなんですが、どうなんでしょう。(‘;’)

実は、二男から11女までにはしわ寄せがいっているんです。いつもお古ばかりを着せられているかわいそうな中間の子供たちみたいな話です(‘;’)。

実は、ブリッジの位置を動かすことによる補正効果は、総弦長に反比例するので、12フレットから1フレットに行くにしたがって少なくなっていき、1㎜あたり10セントからその二分の一の1㎜あたり5セントまで順次変化していきます。ブリッジずらしの補正の理屈はそのことに配慮してなくて、0フレットと12フレットを合わせることしか考えていないのです。長男と末っ子にぴったり合う服を作るけど、間の子供たちには、「我慢すれば着られるでしょ!」と微妙に合わない服を押し付けているのです。

でもここで、もうひとつ別の要素が入ってきて、次男から11女までの子供たちに救いの手が差し伸べられます。優しい叔父さんがプレゼントをもって登場( ^^) 、みたいな感じです。そのプレゼントとは、「弦高も逓減する」、ということなんです。

弦高は、12フレットから1フレットに行くにしたがって少しずつ低くなっていくんですね。一般に1フレットの弦高は1㎜弱くらいにすることが多いです。そのくらいに下げないと弾きにくいからです。これに対して12フレットは弦高を3㎜弱くらいにすることが多いです。こっちまであまり低くすると音がびびる恐れがあるからです。つまり、弦は12フレットから1フレットまで斜め下がりに張ってあるんですね。ということは、弦を押さえたときのシャープの度合いも下がっていくということですね。12フレットで弦を押さえたときのシャープの度合いは30セント(弦高3㎜と仮定して)でしたから、1フレットでのシャープの度合いは10セント程度(弦1㎜と仮定して)に減少するはずなんです。12フレットと比べると三分の一です。

このプレゼントが、次男から11女までに救いになるんですね。ブリッジずらしによる補正がもたらしたしわ寄せ分を、この弦高の変化がかなりの程度打ち消してくれるんです。ブリッジずらし補正の方は、12フレットから1フレットに行くにしたがって補正効果が二分の一になり、弦高の変化の方は、12フレットから1フレットに行くにしたがって、シャープの度合いが三分の一になりました。完全に一致してはいませんが、どちらも左肩下がりで方向性が一致していますので、かなり打ち消されます。もし仮に、12フレットの弦高を2㎜に設定して、1フレットの弦高を1㎜に設定すると、弦高の左肩下がりの逓減度合いも二分の一になり、完全に歩調を合わせて下がっていくので、次男から11女まで全員に合う服が手に入るということになるのです。

実際には、12フレットの弦高が2ミリというのは、低すぎて弾きにくかったり、ビビり音が出たりする可能性があるので、もう少し高くせざるを得ないと思うのですが、とにかく、可能な範囲で12フレットの弦高をなるべく低くするようにすれば、かなりの程度まで問題を打ち消すことができます。

と、こういうわけで、捨てる神あれば拾う神あり、ブリッジずらしによるオクターブチューニングは有効な方法であると言えると思うんです。

明日は、ナット(ゼロフレット)ずらしによる補正は、次男から11女までにしわ寄せはないのかを考えてみたいと思います。

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