ルネサンスギターの特徴(ウクレレとのちがい)は、箇条書きにすると、ざっとこんなところです。
・弦がガット弦。
・弦が7本。
・7本を4コースに振り分けてあり、1コースから4コースまでの調弦は、順にAECGとなっていて、ウクレレと同じ調弦。
・1コースのみ弦が1本で、2コースから4コースまでは弦2本の複弦構成。
・ソプラノウクレレよりかなり大きい。バリトンウクレレくらいの大きさ。
・弦のテンションは弱く、指先はほとんど痛くならない。
・指板がネックに埋め込まれているような形。ネックからボディまでが連続平面。
・フレットが金属の打ち込みでない。ガットをネックに回して結ぶことでフレットを形成している。ガットをネックに回して所定位置に固定するには、熟練技術がいりそう。
・金属フレットにして作る可能性はあるか? ガット弦には金属フレットは硬すぎて傷んでしまうらしい? アクイラの古楽器用のニューナイルガットにすれば金属フレットでもいけるか? あるいは、フレットを木製にすることも考えられるか? その場合フレットの欠損が起きやすい可能性があるか?
・フレットはネック上とボディ上に配置されており、ボディ上のフレットは、木製の細い棒をボディに直接貼り付けてある。
・フレット数は12フレットで完結している。ネックとボディの接合部のところに、岩田さんのルネサンスギターは10フレットが来ていて、生徒さんのルネサンスギターは11フレットが来ている。
・フレットからフレットまでの間隔は広い。12フレットをネックからボディまでを使ってゆったりと配置しているため、ウクレレというよりはギター的な広さになっている。
・ネックの付け根のヒール部分が小さい。ボディ上のフレットを実際に使うことが比較的多いので、押さえるときの邪魔にならないため極力小さくしてあるのか。ここまで小さいと、スペイン式の接合に合うのかどうか検討がいるか。
・ペグが7個。ヘッドの左右に3個づつ振り分け、残り1個をヘッドの先端部中央に配置してある。生徒さんのものはヘッドは小さめで、ガット弦のテンションなら弦7本分の張力にも十分に小さなヘッドで耐えられるということか。フロロカーボン弦にしたら、もう少し強度を考えて大きくする必要があるか。
・ペグは木製でとても軽い。現代の金属ペグ7個で代用するのはバランスが悪いかも。ヘッドが重くなりすぎる。
・ブリッジにサドルがない。弦を直接にブリッジ木部に結ぶような形になっている。これもガット弦ならではか。
・サウンドホールが単なる穴になっておらず、木または紙で作った細かな装飾がはめ込まれている。単なる装飾性なのか、音響的な効果があるのかは不明。装飾を省いて単純なホールにしても音響的に同じなら、そういう作りもありか。
・この装飾に音響効果があるとすると、弱音器のような音を押さえる方の効果か。あるいは押さえる方向ではなく、古楽器のきらびやかな感じの音作りに一役買っているのか。
・楽器全体の重量がとても軽い。
・サウンドホールが装飾でふさがれているので、内部構造が確認できない。
・生徒さんのものはヘッドとネックの接合部位が木の組み込みのような作りになっている。ここは現代のウクレレやギターと同じ作り方でも問題はなさそう。
・トップの形状が洋ナシのようで愛らしい。岩田さんのものは少しトップの横幅が広めで、生徒さんのものはトップの横幅が狭い。
・ネックの厚みは、岩田さんのものは薄く作られており、ウクレレと似ている。とても軽量なネック。生徒さんのものは、円筒を半分に切って半円にしたような形で特徴的。もしかしたらこちらの方が古来の形に近いのかも。かなり重量がある。
・サイドが岩田さんのものはかなり薄く、ウスレレ的なシルエット。生徒さんのものは厚みがあり、ギター的なシルエット。
・岩田さんのものは、トップがスプルースで、バックとサイドはメープル。この材の構成はオーソドックスな構成らしい。全体が白系の木でできている。生徒さんのものは、トップがスプルースで、サイドとバックは茶色系の木。サイドはマホガニーに似ているがマホガニーは通常はルネサンスギターには使わないらしい。バックはまたちがう茶色系の木だが樹種は不明。
とまあ、ルネサンスギターを触らせてもらって、こんなことをつらつらと思っていました。