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コメディア・デラルテ & 博多にわか 即興コメディ仮面劇

コメディア・デラルテ(コンメディア・デッラルテ、Commedia dell’arte)は、16世紀中ごろにイタリアで生まれ、巡業によりヨーロッパ各地に広まった大衆的な仮面即興喜劇。主要プロットだけを決めて即興で演じ、音楽・踊り・パントマイム・軽業などもからめて笑わせる、職業的演劇です。後の喜劇オペラ(オペラ・ブッファ)成立の先駆けにもなりました。

次のように、いろんな特徴がありました。

・テキストなしでおおざっぱな筋書きを事前に決めるたけで、あとは舞台上で即興で上演した。

・俳優は、演じるキャラクターに応じて、特徴的なマスクと衣装を着用し、観客は一目でキャラクターを区別できた。

・各キャラクターはそれぞれ出身地方の言葉で独特のアクセントで話した。

・ストックキャラクターという類型的な登場人物で劇が構成された。欲深な商人、正直な農民、無学だが知恵のある女召使、臆病なくせに自慢している隊長、うぬぼれや、だまされ易い男、恋人たち、道化等々。(日本の時代劇、新喜劇、アニメなどのキャラ設定にも類似のものはありそう…)

・プロットも、不機嫌な愛とか不貞の物語とか類型的で、結末も予定調和的にわかりやすかった。時事問題やスキャンダルなど、「話題の出来事」や地域色も積極的に取り入れられた。

・庶民と結びついた演劇のため、召使や学のない庶民が主人や博士をやりこめたり、煙にまいたり、出し抜いたり、偉ぶってる人のまぬけぶりを笑うなどの面白さもあった。

・舞台装置は、常に数軒の家が書かれた垂れ幕のみであり、室内と通りとの間の、中立的な誰でも出入りする場所という設定だった。

・音楽、踊り、大道芸的なパントマイムやジャグリングなどのわざも演技に織り込まれた。演技は誇張され、笑いをとるための小道具も様々用意された(例えば相手を叩く棒など…ピコピコハンマー的?)

・俳優は男性に限られていた伝統に反し女優も登場し人気を博した。

・即興演技のために、俳優は自分の演じる役柄に応じた読書で、様々な警句や格言や知識を暗記していた。博士は高級な本、恋人たちは宮廷詩人の恋愛詩、隊長は武勇の本などを常に読み、即興で話す内容を大量にストックしている専門家演劇集団であった。

現代の各種大衆劇に通じる特徴がたくさん見られます。冒頭の絵画のように、当時の演劇には楽器も登場したようで、時代的に、初期の頃には庶民的な楽器としてルネサンスギターもきっと使われていたのではないかと推測しています。

さてここで突然日本の話ですが、丁度16世紀から17世紀ころに、即興仮面喜劇が日本にも登場していたのをご存じでしょうか。登場人物は二人程度と少ないですが、類型的キャラが顔半分だけの仮面をつけ、地元の庶民言葉をわざと使い、三味線鉦太鼓などの楽器も登場し、おもしろおかしくお決まりのお笑いを提供するところも似ていて、日本版コメディア・デラルテと言えるかもしれません。それは何かと言うと、「博多にわか」です。一説によれば、黒田官兵衛(黒田如水)が福岡に導入したんだとか。次のようになんか似てませんか(^^。

コメディア・デラルテは現在も残っていますが、博多にわかも現在ちゃんと生きた芸能として残っています。演劇形態として時代場所を超える普遍性があるということでしょうか。

 

 

 

 

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