一十舎のウクレレの特徴

昔は大体12フレットジョイントだった ウクレレの首長族的傾向

この前、12フレットジョイントと14フレットジョイントのことを書きました。ウクレレの顔つきがちがいますねという話です。

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ウクレレもギターも、元は12フレットジョイントがふつうでした。

冒頭の写真のように、弦の有効長は、ナットから12フレットまでと、12フレットからサドルまでが、1対1の関係になるんです。12フレットジョイントにすると、この写真のように、弦長を、ボディ側とネック側に均等に振り分けることができるんです。

これがバランスがよかったんでしょう。昔はみんな12フレットジョイントだったわけです。

その後1929年にアメリカのギターメーカーのマーチン社が14フレットジョイントを開発します。2フレット分だけ全部上にずれて、ネックの長さが伸びて、ブリッジの位置が上に移って、顔の造作が上に寄る感じになりました。その後ウクレレでも14フレットジョイントのものが増えていきます。マーチン社はウクレレも作っていますしね。

左のウクレレが14フレットジョイントですね。右の12フレットジョイントに比べて顔つきが上にずれます。

マーチン社が14フレットジョイントを開発したのは、大音量を求めてギターが大型化していく中で大きなボディが生まれ、そのバランスとして14フレットジョイントが適切になったのだと思います。ボディが重量級になるにつれて、ネックも長くして重量級にした方がバランスがよかったのでしょう。

ではウクレレの場合はどっちがいいんでしょうか。

一概には言うことはできませんが、14フレットジョイントのメリットしては、ネックが長くなる分、フレットの数を増やすことができるし、14フレット付近まで手が届きやすくなる長所はありますね。奏法が技巧化していく最近の傾向の中では、フレット数を増やして、遠くまで手を届くというのは、ひとつの魅力だろうと思います。

またネックが長いと、スマートに見えてかっこいいという美的センスもあるでしょうね。14フレットジョイントに加えて、ソプラノのボディにコンサートサイズの大きめのネックを取り付けるソプラノロングネックというのもはやっていますが、そこにもこの長さのかっこよさの魅力はあるだろうと思います。

ちなみに、アジアの少数民族の首長族では、首が長い女性ほど素敵に見えるらしいですね。でも最近の首長族の若い人たちからはそのセンスがなくなってきているそうで、首に金属の輪っかをはめてその数を増やしていくとすごく重くなって、勉強も差し支えるとかで、輪を外してしまう若者が増えているんだとか。首長族の古老は伝統の衰退を嘆いているんだと新聞に出てました。

話がそれました。(+o+)

14フレットジョイントに対して、昔ながらの12フレットジョイントは、やはり安心感のあるバランスがあると思います。持ちやすいし、弾きやすいです。ウクレレはギターほどの大型化はしていないので、14フレットジョイントにすると、バランス的にネックが重くなりすぎる傾向があると思います。普段の普通弾きでは、12フレットジョイントのものでもフレット数も十分だし、指も十分に届きます。普通の曲を普通に弾くという普通スタイルには12フレットジョイントはやはりバランスがいいと感じます。

一十舎のウクレレは、

普段の普通のなんでもないときになんでもなく弾くなんでもない良さというのがいいよね

的な感覚で作っているので、普通のときに普通に持ちやすい12フレットジョイントをスタンダードに採用しています。

(*^_^*)