日本の木シリーズウクレレをもう一本作りました! 今回はボディを全部オニグルミで作り、ネックはケヤキ、指板はヤマザクラという構成にしました。
作って最初の音出しの瞬間はいつもドキドキします。ぽろりんと鳴らしてみて、「お、いい感じ!」という音色になりました。オニグルミは以前にも一度ソプラノウクレレに使ってみたことがあり、お客さんにも良い評価(「今まで弾いたウクレレの中で一番いい!☺」)をもらっていたのですが、今回、コンサートサイズで作ってみて、やはりウクレレの材として十分ポテンシャルがあることが再確認できました。
1200もの樹種がある日本は本当に木の宝庫です! いい素材がたくさん眠っているので、これからもいろいろ発掘していきたいと思っています。
さて、では本器の試奏をお聞きください。試奏はいつものように岩田耕作先生にお願いしました。
BASEショップの販売ページはこちらです
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ショップの販売コーナーにこのウクレレの詳細説明が書いてありますので、興味のある方は販売ページでお読みください。今回使った和材の説明部分だけ、こちらにもう一度載せておきましょう。↓
・ボディに使用したオニグルミは、実が食用として有名ですが、材木としてもなかなか優秀で、柔らかすぎず硬すぎずバランスが取れ、狂いが少なく粘りのある材として幅広い用途に使われます。音響的にもホッと安心できるような落ち着いた音色の中に明るさもあり、楽器材として魅力十分です。おもしろい前例としては、明治時代にバンジョーやマンドリンを国産するとき、胴と棹にクルミを使用した例があります。なお、現代では北米産のブラックウォルナットが楽器材に使用される例がありますが、これは同じクルミ属の材ですが、日本のオニグルミとは別の種で、オニグルミはブラックウォルナットに比べると軽量で淡い色です。
・ネックに使用したケヤキ材は、ニレ科の落葉広葉樹で、本州、四国、九州に広く分布する、日本を代表する木のひとつです。古くから家具、大黒柱、神社仏閣の建材などに使用されてきて、街路樹になるなど普段目にする機会も多く、樹齢数百年の巨木が境内に立って神格化されていたりします。材質は極めて堅牢で、耐久性・耐水性・耐朽性が高く、材木としての希少性が高いためやや高価です。古来、寺院で時を知らせる合図に叩く板木(ばんぎ)や木魚の材として使用されてよく通る響きが愛されてきましたし、太鼓の胴、三味線の胴、薩摩琵琶の胴など、楽器の胴材として使用されました。
・指板に使用したヤマザクラは、サクラの天然種のひとつで、本州、四国、九州に自生する品種です。サクラには、天然種のほかに、有名なソメイヨシノなど人為的に育成された園芸品種がたくさんあり、それら園芸品種はサトザクラという総称で天然種と区別されます。ヤマザクラは、材木としてよく利用され、良材として定評があります。中庸からやや重硬、均質、緻密、寸法安定性がよく、色に温かみがあり光沢が出て美しいことから、伝統的に、器具、玩具、楽器、彫刻、工芸品、浮世絵などの版木、定規、種々の木型などに使用されてきました。日本の楽器材としては、木鐘、大鼓、小鼓、三味線の胴や棹、琵琶の胴、月琴の胴など、使用例がたくさんあります。
