和材をふんだんに使ってウクレレを作ろうと思うようになったのは、「日本の木と森が好き!」という思いが私の基本設定に昔からあるからなのですが、もっと直接的な理由としては、「世界の森林は切り過ぎて枯渇し、日本の森林は切らな過ぎで荒廃している」という現状認識から来ています。
「四つの危機」という言い方が、生物多様性国家戦略の中にありまして、ざっくり説明すると、
第1の危機 人間活動や開発による危機(オーバーユース) たとえば、原生林の無制限な伐採
第2の危機 人間活動の縮小による危機(アンダーユース) たとえば、里山や人工林の放置
第3の危機 外来種による生態系の攪乱
第4の危機 地球温暖化による危機
ということになります。
最初に現状認識として述べた、世界の森林が切り過ぎで枯渇しているというのは1の危機のオーバーユースに当てはまりますし、日本の森林は切らな過ぎて荒廃しているというのは第2の危機のアンダーユースに当てはまります。日本は、世界中の安い木材をどんどん輸入して使いまくり、世界の第1の危機を加速させていますし、世界の安価な木材に依存して国内の林業を衰退させた結果、放置された国内森林の藪化、竹林化、暗くて多様性のない森林化などが、国内の第2の危機を加速させています。そして、結局は、第1の危機も第2の危機も地球温暖化という第4の危機を加速させます。生命循環も経済循環も言ってみればズタボロで、持続不可能な現状になっているわけです。
そこで、それらの危機を緩和する方向として、日本の木を循環的に使う文化を復活させよう、それも杉や少数の高級材ばかりに偏るのではなく様々な木をみんな使うような文化を復活させようという考えから、いろんな和材でウクレレを作ってみようという考えになったわけです。そうしていろんな木のいろんな音が日本中に鳴り響くようになったら、日本の森林も林業も音楽も一層明るく楽しくなるんじゃないかしら(´∀`*)ウフフ、という明るい展望です。
変化に富む日本の気候風土は、本当に様々な木を育んでいて、日本は世界でもまれなほど材種の宝庫です。古来、伝統的な和楽器も、その豊かな種類の木を使い分けてきた実績がありますし、様々な木がウクレレ材としても十分にポテンシャルを持っていることを確認するべく、木の組み合わせを一本ずつ変えながら、のんびり和材ウクレレ製作に取り組んでおります。(私の性格上、どうしても、のんびりは外せません(#^.^#))。この木がこんな音になったという実験情報を発信して、楽器材としての日本の木の可能性を広げたいと思っています。
