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中世ヨーロッパ庶民の楽器 太鼓笛(The Pipe and Tabor)

中世ヨーロッパの楽器には様々なヴァリエーションがあり、庶民的な魅力がいっぱい。例えばそのひとつが片手笛と太鼓を一人で演奏する太鼓笛。英語ではパイプ&テイバー、ドイツ語ではシュヴェーゲルなどと呼ばれます。楽師一人でメロディとリズムを出せるので、この演奏ができれば、放浪楽師は単独で営業ができます。行く先の村々も、楽師ひとりに報酬を支払えば、十分にお祭りや踊りで盛り上がれます。この太鼓笛はイギリス、ドイツ、スペインなど、ヨーロッパ中に広がっていたことが、様々な絵画からわかります。

笛の指孔は前面に2から3、背面に1。通常より1オクターブから2オクターブ高い音を出すので、人の耳目を集める効果は抜群です。この太鼓笛の放浪楽師が一人村にやってきて高らかに笛と太鼓を鳴らせば、村の人々はきっと、「あっ、お祭りがやってきた!」と思って、仕事を放り出して広場に向かって駆けだしたくなったことでしょう。この太鼓笛は、農民市民王侯貴族まで階級を問わず、野外から大広間まで場所を問わず、村祭り・ダンス・騎士の馬上槍試合・聖体行列などの祝祭パレードなど、あらゆる機会に活躍したようです。ハーメルンの笛吹き男が演奏したのもこの太鼓笛だったという話もあります。15世紀に「笛吹きヘンスレ」と呼ばれた人は、人を熱狂させる演奏で有名で、フランケン地方で宗教的な熱狂を巻き起こし、ついには農民反乱にまで発展したという逸話もあります。

次の動画解説を見ると、太鼓笛の概要と楽しい雰囲気がよくわかります。

次のサイトが参考になります。教本の入手も可能で自分で学ぶことも可能なようです。

パイプ&テイバー イングランドの片手笛

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